[SVC49-P02] 火山観測用自走式センサー「ほむら」の開発:霧島硫黄山での運用試験と京大における長期間運用試験
キーワード:火山観測用ロボット、霧島硫黄山、携帯電話通信
火山噴火の予兆現象を把握し,火山噴火のダイナミックスの理解を行うためには,火口近傍さらには火口内における諸現象のモニタリングが必須である.現状において,火山活動の静穏時に設置された火口カメラによる監視,火山ガスなどの観測が行われている.一方,活動が活発化している火山において,新たに観測機器を設置しようとしても,危険性のためそれができず,十分な観測体制を持てない場合もある.これまでに,いくつかのプロジェクトで火山観測用の無人ロボットの開発が試みられてきたが,プロジェクトの終了とともに開発が停止し,実用化に至っていない.本研究では,この現状を打破し,火口内やごく近傍の機動的観測を行う実用的な無人陸上車両型ロボットのシステム「火山観測用自走式センサー『ほむら』」の開発を進めている.今回の発表では,2015年春および2016年春に霧島硫黄山にて行われた1~2か月間の観測試験,および2016年10月より現在(2017年2月15日)なお継続中の京都大学の建物の屋上で行われている長期観測試験についての結果を報告する.
ほむらが,目指すものは,遠隔地からの無線操縦により,火山フィールドを走行し,人が近づけない活動中の火口近傍や火口内の映像および搭載センサーによる観測データをリアルタイムで操縦局に送信する低コストロボットである.現段階において,我々は,ほむら試作機を製作した.ほむらは,上下対象の構造を持つ6輪の車形状のロボットである.大きさは長さ750 x 幅430 x高さ 310 mm,重さは約12kgである.機体内には,カメラ,GPS,CO2ガスセンサーなどのセンサー類を収納する.基地局との通信は,Docomo FOMAによる64kbps通信で行う.ほむらを使用しない場合には,遠隔操作より電源を切り,その間の消費電力をきわめて低く抑えることができる.また,任意の時に,遠隔操作により電源を入れ,観測活動を行うことができる.
我々は,立入規制が行われている2014年2月19日~2015年4月8日(49日間),および,2016年3月7日~4月14日(37日間)に霧島硫黄山山頂までほむらを運び,硫黄山火口が見えるようにほむらを設置した.霧島硫黄山は,霧島火山に属し,北側のえびの高原に位置する小火山であり,2014年末以降たびたび火口周辺警報が出され,周辺約1kmの立ち入りが規制されている.硫黄山山頂周辺では,火口縁の高まりのところでは,えびの高原の観光施設を見通すことができ,FOMA電波が良好であったものの,火口内および低い場所では,FOMA電波状況が不安定であった.そのため,今回は,電波状況が安定している場所にほむらを設置し,ほむらを移動させないことにした.設置の後,京都大学に戻り,大学よりほむらの遠隔操縦を行った.毎日ほむらを起動し,可視画像および内蔵の試験用のセンサー(CO2および温度計)のデータをリアルタイムで取得することを行った.試験期間中,雨や霧などの悪天候の時もあったが,遠隔操縦に関するトラブルは起こらなかった.
ほむらのさらなる実用的長期運用を目指し,小型の太陽電池を搭載したほむらの安定性の試験を現在行っている.1016年10月10日にほむらを京都大学建物屋上に設置し,6時間ごとに約4分間ほむらを立ち上げ,観測を行う.現在(1017年2月15日)までの128日間,ほむらを安定して運用することができている.
今回の試験により,長期間でも安定して運用できることが確認された.FOMA電波が利用可能であるということは前提であるが,ほむらは,今回の試験のように,噴火の可能性が高まっている火山に,噴火が起こらないうちに設置し,数か月間にわたり,臨時の観測ポイントとして利用できる.
本活動は2013年度より東京大学地震研究所特定共同研究Bの援助を受けており,ここに謝意を表します.
ほむらが,目指すものは,遠隔地からの無線操縦により,火山フィールドを走行し,人が近づけない活動中の火口近傍や火口内の映像および搭載センサーによる観測データをリアルタイムで操縦局に送信する低コストロボットである.現段階において,我々は,ほむら試作機を製作した.ほむらは,上下対象の構造を持つ6輪の車形状のロボットである.大きさは長さ750 x 幅430 x高さ 310 mm,重さは約12kgである.機体内には,カメラ,GPS,CO2ガスセンサーなどのセンサー類を収納する.基地局との通信は,Docomo FOMAによる64kbps通信で行う.ほむらを使用しない場合には,遠隔操作より電源を切り,その間の消費電力をきわめて低く抑えることができる.また,任意の時に,遠隔操作により電源を入れ,観測活動を行うことができる.
我々は,立入規制が行われている2014年2月19日~2015年4月8日(49日間),および,2016年3月7日~4月14日(37日間)に霧島硫黄山山頂までほむらを運び,硫黄山火口が見えるようにほむらを設置した.霧島硫黄山は,霧島火山に属し,北側のえびの高原に位置する小火山であり,2014年末以降たびたび火口周辺警報が出され,周辺約1kmの立ち入りが規制されている.硫黄山山頂周辺では,火口縁の高まりのところでは,えびの高原の観光施設を見通すことができ,FOMA電波が良好であったものの,火口内および低い場所では,FOMA電波状況が不安定であった.そのため,今回は,電波状況が安定している場所にほむらを設置し,ほむらを移動させないことにした.設置の後,京都大学に戻り,大学よりほむらの遠隔操縦を行った.毎日ほむらを起動し,可視画像および内蔵の試験用のセンサー(CO2および温度計)のデータをリアルタイムで取得することを行った.試験期間中,雨や霧などの悪天候の時もあったが,遠隔操縦に関するトラブルは起こらなかった.
ほむらのさらなる実用的長期運用を目指し,小型の太陽電池を搭載したほむらの安定性の試験を現在行っている.1016年10月10日にほむらを京都大学建物屋上に設置し,6時間ごとに約4分間ほむらを立ち上げ,観測を行う.現在(1017年2月15日)までの128日間,ほむらを安定して運用することができている.
今回の試験により,長期間でも安定して運用できることが確認された.FOMA電波が利用可能であるということは前提であるが,ほむらは,今回の試験のように,噴火の可能性が高まっている火山に,噴火が起こらないうちに設置し,数か月間にわたり,臨時の観測ポイントとして利用できる.
本活動は2013年度より東京大学地震研究所特定共同研究Bの援助を受けており,ここに謝意を表します.