臨床リレーセッション2
歯根破折からの歯の再植・移植，その診断と治療方針

[CLS2-Chair] [座長抄録] 歯根破折からの歯の再植・移植，その診断と治療方針

秋葉 陽介¹、峯 篤史² (1. 新潟大、2. 大阪大)

[Abstract]
　歯根破折が原因で抜歯となった歯列欠損部位に対する補綴処置には，ブリッジ，義歯，インプラントが選択可能である．いずれの補綴処置も良好な予後，臨床成績を示し，患者のQOL向上に寄与している．
　しかし，歯根破折歯の抜歯や欠損補綴処置に至る前に可能な治療戦略として，破折歯根の意図的再植術や天然歯の移植も考えるべきである．意図的再植，移植は天然歯による補綴処置を実現させ，人工材料による処置と比較して，一口腔単位での予後を考慮した場合，欠損拡大の抑制に寄与することが示唆される．さらに，歯根膜感覚を保持する天然歯の可及的な保存は，患者の摂食，咀嚼における違和感を低減させることにも寄与する．
　以上の観点から意図的再植，移植による補綴処置は患者の健口長寿に寄与し，再植，移植による補綴処置は，補綴専門医として治療オプションに積極的に取り入れるべき選択肢である．本セッションでは，一口腔単位での補綴学的治療方針の視点から，天然歯保存の意義，重要性を考慮した意図的再植と移植について，会員と議論したい．

トピックス
●一口腔単位での補綴学的治療
●欠損拡大の抑制
●天然歯保存の意義，重要性