公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

イブニングセッション

現地発表

イブニングセッション3
補綴歯科医が考えるPostコロナ時代のフレイル予防戦略-栄養,精神心理,社会的要因から-

2024年7月6日(土) 18:00 〜 19:00 第4会場② (幕張メッセ国際会議場 3F 301-2 )

コーディネーター:後藤 崇晴(徳島大)

[ES3-2] 補綴歯科医が考えるPostコロナ時代のフレイル予防戦略-栄養,精神心理,社会的要因から-

*長谷川 陽子1 (1. 新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野)

[Abstract]
 高齢者における要介護の発生は,外出を避けて家に閉じこもる「引きこもり」が主な要因とされており,口元の審美問題や食べられない・むせるなどのオーラルヘルス低下も,引きこもりと関連して報告されています.私は兵庫県丹波篠山地域で実施している高齢者を対象とした調査(FESTA study)に2016年から参加し,特に高齢者の引きこもりに焦点を当てて研究を行ってきました.その結果,高齢者が引きこもる原因は加齢や身体機能低下だけでなく,口腔機能の低下や噛み合わせのバランスの悪化が転倒の発生に関連している可能性を報告してきました.FESTA studyは新型コロナウイルス感染症の流行により一時中断しましたが,2021年12月に調査を再開しました.再開後に得たデータは中断前とは異なる傾向を示しており,これはライフスタイルの変化や精神心理的な要因が影響していると推測されます.特に,他者との交流機会の減少や社会的孤立,歯科やリハビリなどの緊急性の低い医療機関への受診の控え,ストレスやマスクの着用による口腔内細菌の変化などが,引きこもりだけでなくオーラルヘルスの悪化にもつながると予測されます.
 本セッションでは,高齢者の健康におけるライフスタイルの変化と精神心理的な要因に焦点を当て,これらがオーラルヘルスに及ぼす影響を考察したいと思います.またコロナ禍以降における高齢者の変化を知ることで,新しいライフスタイルに適したオーラルヘルスアプローチを参加される先生方と一緒に考えられたらと思います.