公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

一般口演

現地発表

一般口演6
インプラント

2024年7月6日(土) 15:50 〜 16:20 第3会場 (幕張メッセ国際会議場 2F 201)

座長:村上 洋(日大松戸)

[O1-17] インプラント上部構造の設計が周囲組織に及ぼす影響-三次元有限要素解析による検討-

*五日市 純宏1、佐々木 槙一1、山森 徹雄1,2、池田 敏和2、松本 知生2、内山 梨夏2、飯島 康基2、橋原 楓1、嶋田 伊吹1、髙橋 泰我1、関根 貴仁3、伊藤 隼2、髙津 匡樹1,2 (1. 奥羽大学大学院歯学研究科口腔機能回復学、2. 奥羽大学歯学部歯科補綴学講座、3. 東北・北海道支部)

[Abstract]
【目的】
 35~37の遊離端欠損部への口腔インプラント治療で35部へのインプラント体埋入が困難な場合,36,37部にインプラント体を埋入し,35部をボンティックとした延長ブリッジ上部構造が選択される場合がある.力学的に不利な延長ブリッジ1)に対応するため,34と36,37部のインプラントによる中間ブリッジ上部構造を考えた.本研究では,これらの設計を三次元有限要素解析により評価し,インプラント体を3本埋入した場合と比較検討した.
【方法】
 汎用三次元CADソフトウェアにて,35~37欠損に対して,36,37部インプラントを支台とした延長ブリッジのモデルA,34と36,37部インプラントを支台とした中間ブリッジのモデルB,モデルBの34と延長ポンティック間にポリオキシメチレンを介在させたモデルC,3本のインプラント体に上部構造を単独クラウンとしたモデルD,連結クラウンとしたモデルEを作成した.解析には汎用有限要素法プログラムを使用して,天然歯,支台装置,ポンティックの咬合面にそれぞれ5,000gfの垂直荷重を付加し,線形静解析を行った.
【結果と考察】
 最も大きな応力値が発現した36部インプラント体周囲骨における相当応力値は,モデルAで34.6MPa,モデルBで19.7MPa,モデルCで21.3MPa,モデルDで2.4MPa,モデルEで1.67MPaであった.本解析でモデルAの36部インプラント体近心側周囲骨に最も大きな相当応力値が認められた原因として,荷重による延長ポンティック部の下方変位が考えられた.一方,モデルB,Cでは中間ブリッジ上部構造のためポンティックの変位が抑制され相当応力値が減少したものと考えられた.しかしこれらの上部構造ではモデルD,Eと比較すると著明な応力集中が生じていた.以上のことから,イプラント上部構造に延長ポンティックを用いる場合は,変位量を減ずる配慮が望まれた.また34を支台歯に加えることで力学的に有利となるが,天然歯とインプラントの連結を含むため,適用を慎重に検討すべきであると考えられた.
【参考文献】
1) Rangert B, Jemt T, Jorneus L. Forces and moments on Branemark implants. Int J Oral Maxillofac Implants 1989; 4: 241-247.