[P-101] 高齢低舌圧患者に対する反復的舌トレーニングが中枢および末梢にもたらす変化の検証
[Abstract]
【目的】
口腔機能低下症の下位症状の一つである低舌圧は,高齢者における摂食機能低下の一因となるため,舌挙上訓練が推奨されているが,その処方は標準化されていない.反復的な舌トレーニングにより,健常者では舌運動を司る運動野の神経可塑性変化が確認されているが,高齢者で同様の変化が生じるかは不明である1).本研究は,高齢低舌圧患者に対する口腔リハビリテーション処⽅の標準化のため,運動野の神経可塑性変化と末梢の運動機能パラメータとの総合的な分析による反復的舌トレーニング効果の検証を目的とする.
【方法】
本学附属病院に通院中の低舌圧患者9名(男性4名,女性5名,平均年齢81±5歳)に対し,5日間連続で5 kPaおよび10 kPaによる舌トレーニングをランダムな順序で41分間実施し2),トレーニング前後で最大舌圧を測定した.さらに,1日目および5日目のトレーニング前後に経頭蓋磁気刺激装置(TMS)にて舌筋の安静時運動閾値(rMT)を検出した.最大舌圧およびrMTについて,時間を主要因とする一元配置分散分析を行った.
【結果と考察】
最大舌圧に5日間で有意な変化はなかったが(P>0.552),rMTは1日目訓練前より5日目訓練後で有意に低下した(P<0.008).高齢低舌圧患者に対する5日間の舌トレーニングは舌運動を司る運動野に皮質興奮性変化をもたらすが,舌圧上昇に対する奏功性向上にはトレーニング処方の改善の必要性が示唆された.
【参考文献】
1) Svensson P, Romaniello A, Wang K, et al. One hour of tongue-task training is associated with plasticity in corticomotor control of the human tongue musculature. Exp Brain Res 2006;173(1):165-176.
2) Komoda Y, Iida T, Kothari M, et al. Repeated tongue lift movement induces neuroplasticity in corticomotor control of tongue and jaw muscles in humans. Brain Res 2015;1627:70-9.
【目的】
口腔機能低下症の下位症状の一つである低舌圧は,高齢者における摂食機能低下の一因となるため,舌挙上訓練が推奨されているが,その処方は標準化されていない.反復的な舌トレーニングにより,健常者では舌運動を司る運動野の神経可塑性変化が確認されているが,高齢者で同様の変化が生じるかは不明である1).本研究は,高齢低舌圧患者に対する口腔リハビリテーション処⽅の標準化のため,運動野の神経可塑性変化と末梢の運動機能パラメータとの総合的な分析による反復的舌トレーニング効果の検証を目的とする.
【方法】
本学附属病院に通院中の低舌圧患者9名(男性4名,女性5名,平均年齢81±5歳)に対し,5日間連続で5 kPaおよび10 kPaによる舌トレーニングをランダムな順序で41分間実施し2),トレーニング前後で最大舌圧を測定した.さらに,1日目および5日目のトレーニング前後に経頭蓋磁気刺激装置(TMS)にて舌筋の安静時運動閾値(rMT)を検出した.最大舌圧およびrMTについて,時間を主要因とする一元配置分散分析を行った.
【結果と考察】
最大舌圧に5日間で有意な変化はなかったが(P>0.552),rMTは1日目訓練前より5日目訓練後で有意に低下した(P<0.008).高齢低舌圧患者に対する5日間の舌トレーニングは舌運動を司る運動野に皮質興奮性変化をもたらすが,舌圧上昇に対する奏功性向上にはトレーニング処方の改善の必要性が示唆された.
【参考文献】
1) Svensson P, Romaniello A, Wang K, et al. One hour of tongue-task training is associated with plasticity in corticomotor control of the human tongue musculature. Exp Brain Res 2006;173(1):165-176.
2) Komoda Y, Iida T, Kothari M, et al. Repeated tongue lift movement induces neuroplasticity in corticomotor control of tongue and jaw muscles in humans. Brain Res 2015;1627:70-9.