公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-104] 咀嚼計を用いた咀嚼機能検査の簡易化に関する基礎的研究

*武田 佳大1、山口 摂崇1,2、山中 大寛1、藤浦 光汰1、越智 守生1 (1. 北海道医療大学口腔機能修復・再建学系クラウンブリッジ・インプラント補綴学分野、2. 札幌市保健福祉局 保健所)

[Abstract]
【目的】
 咀嚼機能検査結果には,咀嚼回数や咀嚼リズム,咬合圧などが影響すると考えられるが,これまで咀嚼機能検査時の各要素との関連性を同時に考慮して評価した研究は存在しなかった.本研究では,咀嚼計で得られるデータを用いて,咀嚼機能検査時の咀嚼回数やリズム,咬合圧との関連性を明らかにすることを目的とした.
【方法】
 対象者は北海道医療大学在学学生および臨床研修歯科医師,教職員とした.適格基準はEichner A群,除外基準は顎関節症症状がある者とした.咬合圧検査(デンタルプレスケール,ジーシー)を実施し,最大咬合圧を採得した.また,咀嚼機能検査(グルコセンサー,ジーシー)時に咀嚼計(bitescan,SHARP社)を併用し,20秒間のグルコラム咀嚼時の耳介裏側の皮膚の形態変化を20Hzでセンシングすることで咀嚼行動の測定を行なった.この際,咀嚼回数やリズム等の数値データや咀嚼時の耳介裏側の皮膚の形態変化を測定した波形データを採取した.なお,波形データからArea Under the Curve:(AUC)と振動数の2項目を算出した.その後,咬合圧と咀嚼計から得られた各データとの関連性を検討した.各データはSpearmanの相関係数にて評価した.
【結果と考察】
 対象者数は110人(男性66名、女性44名)であり,平均年齢は24.75歳であった.咬合圧は咀嚼回数,咀嚼リズム,AUCとの間に相関は認められなかったが,振動数との間に弱いながらも正の相関(r = 0.145)が認められた.そのため,咀嚼機能検査における咬合圧と耳介裏側の皮膚の形態変化に関連性があることが示唆された.また,本研究では20秒間の咀嚼によるグルコラムの形態変化を考慮する必要があると考える.今後,咀嚼データの最適な評価時間を検討するとともに咀嚼に関連する項目が明らかになった際に,グルコース溶出量との関連に関しても検討していく.
【参考文献】
1)杉山慎太郎,吉岡文,尾澤昌悟,武部純.健常有歯顎者における咬合接触面積が咀嚼能力に及ぼす影響.日咀嚼誌 2015;25 (2):59-65.
2)志賀博,小林義典,雲野美香,大迫千穂,水内一恵.グミゼリー咀嚼による咀嚼能率の評価のための咀嚼時間.顎機能誌 2004;11:21-25.