公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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教育

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-119] 知識構成型ジグソー法による歯冠修復学の能動的学修とその学習効果の検討

*秋葉 陽介1、秋葉 奈美1、江口 香里1、長澤 麻沙子1、魚島 勝美1 (1. 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 口腔生命科学専攻 口腔健康科学講座 生体歯科補綴学分野)

[Abstract]
【目的】
 歯学部における技能習得に先立って基礎知識の習得は必須であるが,短時間の講義・学習では十分な効果が得られず,結果として技能の習得にも支障を来す可能性がある.知識構成型ジグソー法1)を応用した演習は,学生の能動的な基礎知識習得を可能にするとされている.本研究の目的は知識構成型ジグソー法を用いた演習と,講義との学修効果の違いを,プレ・ポストテストの正答率を用いて比較検討することである.
【方法】
 我々は,2017年より歯冠修復学総論に知識構成型ジグソー法を導入している.歯冠修復学総論に関する課題を事前に提示し,学生は課題の予習を行った状態で(反転授業),演習に先立って多肢選択問題にオンラインで解答する(プレテスト).演習では5~6名のグループごとに歯冠修復に必要かつ異なる課題について議論し,プロダクトを作成する(エキスパート活動).その後,グループを再編し,課題の関連性や統合について相互に知識を交換し(ジグソー活動),必要に応じてグループ学習によって補完する.ジグソー活動後に元のグループに戻り,修正点や追加点を確認した.この段階でオンラインアンケートを実施し,学生が理解困難であると感じる課題に関しては,その場で担当グループからの発表と教員からの補足を行った.学生には全課題に対するレポートを作成させ,翌週にオンラインでポストテストと演習に関するアンケートを実施した.正答率の比較には感染対策のため講義形式で実施した2020年のデータを使用し,Welch`s t testを用いて解析した.
【結果と考察】
 テスト,アンケート結果は,担当教員へフィードバックし,各論講義,実習での解説に利用した.講義とジグソー法では,プレテストの平均正答率に有意差は無かったが(48.44 vs 47.77),ポストテストの平均正答率は,ジグソー法において有意に高い値が示された(72.5 vs 88.85).本学における歯冠修復学は主にクラウンを用いた治療に関して学ぶプロフラムであり,本法を用いた演習は従来型の講義に比較して,総論的な基礎知識習得という点で効果的であるばかりではなく,能動的な学習態度を身につけさせるために有効である可能性が示された.また,ジグソー活動によるグループ学習によってコミュニケーション能力の涵養も期待できる.
【参考文献】
1) 東京大学CoREF. 協調学習 授業デザインハンドブック