公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

有床義歯

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-12] 無作為割付臨床試験による軟質リライン材に対する義歯清掃の検討

*竹内 理穂子1、宮前 真1、園部 菜那1、服部 文香1、森永 有映1、木本 統1 (1. 愛知学院大学歯学部 高齢者・在宅歯科医療学講座)

[Abstract]
【目的】
 清掃不良な義歯は, 誤嚥性肺炎の原因になることが知られており1), 高齢の義歯装着者にとっては大きな問題である. そこで, 軟質リライン材の効果的な義歯清掃方法を無作為割付臨床試験で明らかにすることとした.
【方法】
Ⅰ. 研究デザイン
クロスオーバー無作為割付臨床試験
Ⅱ. 被験者
1. 選択基準:
愛知学院大学歯学部附属病院に来院し,研究への同意が取得できた無歯顎患者
2. 除外基準:
認知症や目が不自由などの身体的理由にて, 日本語の読み書きができない患者
Ⅲ. 介入および評価項目
上顎義歯の口蓋部に, アクリル系軟質リライン材(バイオライナー,ニッシン), シリコン系軟質リライン材(ソフリライナーMS,トクヤマ), 硬質リライン材(トクヤマリベースⅢ,トクヤマ)の3種類のリライン材を直径5mm深さ1mmの円柱状に填塞し, (1)義歯洗浄剤のみでの清掃法(化学的清掃法),(2)義歯ブラシでの機械的清掃法(機械的清掃法),(3)義歯洗浄剤と機械的清掃法併用による清掃法(併用清掃法)の3種類での清掃を介入として実施した.被験者は割付表に基づいた指示に従い2週毎に無作為に方法を変え6週間義歯を清掃した. 各清掃期間終了時に填塞部のふき取り試験を行い, BHI寒天培地にてColony Forming Unit(CFU)を評価した. 培養条件は好気的条件下37℃24時間とした.
Ⅳ. 統計分析
清掃方法の違いによるCFUとリライン材の違いによるCFUをフリードマン検定とボンフェローニ補正を行ったウィルコクソンの符号順位検定での多重比較を用いて分析した. 有意水準はp<0.05とした.
【結果と考察】
Ⅰ. 清掃方法の効果
清掃方法の違いによるCFUに差は認められなかった(p>0.05).
Ⅱ. 材料の影響
化学的清掃法と機械的清掃法ではリライン材間でCFUが異なる傾向が認められ(p=0.084, p=0.054), 併用清掃法ではリライン材間に差が認められた(p=0.021).
これらにより,種類の異なるリライン材において,それぞれに適した清掃法を確立する必要性が示唆された.
【参考文献】
1) Iinuma T, Arai Y, Abe Y et al. Denture wearing during sleep doubles the risk of pneumonia in the very elderly. J Dent Res 2015;94(3 Suppl):28S-36S.