公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

症例

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-140] 補綴歯科専門医を目指す若手歯科医師による欠損補綴症例

*曽根 峰世1、大日方 夏海1、武田 達郎1、齋藤 遼1、根岸 大暉1、沼澤 美詠1、岡本 和彦1 (1. 明海大学歯学部機能保存回復学講座有床義歯補綴学分野)

[Abstract]
【緒言】
 本学附属病院歯科補綴科は日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医認定研修機関であり,専門医取得へ向けて現在23名の医局員が在籍している.そのため,症例報告を研修プログラムの一環として開催している.今回は卒後2年目の若手歯科医師が経験した2症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
 症例1
 患者は71歳の女性で,上顎前歯部の外観不良を主訴に来院した. 同部を含めた残存歯のデンタルエックス線写真に問題は無かったが,歯周基本検査より上顎左側小臼歯部に軽度の動揺を認め,上顎左側前歯部のアンテリアガイダンス不良による咬合性外傷が疑われた.以上の検査より,咬合性外傷をともなった審美障害と診断し,治療計画として適切なアンテリアガイダンスを付与した前歯部ブリッジ装着を提案し, 患者の同意を得た. 最終補綴装置にはジルコニアをフレームに用いたオールセラミックブリッジを装着した.なお,アンテリアガイダンスの付与に関しては,プロビジョナルレストレーションで妥当性を検討した後,咬合器上でカスタムインサイザルテーブルを製作することで行った.
 症例2
 患者は72歳の女性で,咀嚼困難を主訴に来院した.上下顎無歯顎症例であり,口腔内所見として上顎にフラビーガム,下顎にはナイフエッジ状の顎堤を有しており,側貌から下顎前突が疑われた.また現義歯には著しい臼歯部人工歯の咬耗と上顎前歯部人工歯の破損修理が認められた.以上の検査より,義歯不適合による咀嚼障害と診断し,治療計画として新義歯製作を提案し, 患者の同意を得た. 最終補綴装置にはアクリルレジン製の上下顎全部床義歯を装着した.なお,印象採得は下顎に対してコピーデンチャーを用いた咬合圧印象を行い,水平的顎間関係の記録にはゴシックアーチ描記法を応用した.
 なお,本発表に際して2症例共に患者の同意を得た.
【経過ならびに考察】
 症例1
 OHIP-14とVASを用いて審美障害の治療効果を定量化したところ,初診時と比較して治療後に改善が認められた.
 症例2 
 グミゼリーによる咀嚼機能検査を用いて咀嚼障害の治療効果を定量化したところ,初診時と比較して治療後に改善が認められた.
 補綴専門医を目指す若手歯科医師にとって,適切な検査,診断に基づく補綴歯科治療を行う事は重要である.また,その補綴装置の形態と機能を維持,管理する知識と技能の追求も必要である.今後も指導を続けていきたいと考える.