公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

クラウンブリッジ

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-43] 掌蹠膿疱症における歯科金属除去の有効性の検討

*細木 真紀1、田島 登誉子1、宮城 麻友1、松香 芳三1 (1. 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 顎機能咬合再建学分野)

[Abstract]
【目的】
 日本での掌蹠膿疱症症(palmoplantar pustulosis あるいは pustulosis palmo-plantaris;以下 PPP)の患者数は約14万人と推定されており,その病因は未だ解明されていない.PPPは感染病巣との関連性が指摘されており,歯科金属アレルギーの関与も報告されているが,金属除去と歯性感染症治療が同時に行われることが多いため,金属除去のみの効果は不明確である.最近の報告では,金属除去のみで PPP が軽快した例は数%にすぎないとの報告があり1),金属アレルギーがPPPの発症や進行に関与しない可能性,および口腔内の金属除去がPPP患者の臨床的改善につながらない可能性について議論されている.本研究の目的は,パッチテストで金属アレルギーと診断されたPPP患者に対して歯科治療を実施し,その長期経過を後ろ向きに調査することにより,PPPと歯性感染症,金属アレルギーの関連性を明らかにすることである.具体的には,口腔内に陽性金属が存在しない状態で,PPPや歯性感染症の発症を追跡し,除去治療の効果を検証した.
【方法】
 対象は,パッチテスト時から4年以上経過し,除去・置換治療後も継続して通院しているPPP患者10例(男性2例,女性8例,平均年齢54.4歳)である.後ろ向き調査を行い,歯性感染症診断の基準やPPP再発の原因探索の指標を設定し検討した.
【結果と考察】
  陽性金属の除去と同時期に寛解した例が7例,1年経過後に寛解した例が1例,寛解に至らなかったが改善した例が2例であった.詳細に検討すると,歯性感染症を生じても,その時期にPPP再発は認められなかった.また一部の症例では,陽性金属を多く含む食品の摂取により,一時的な症状の再発を認め,PPP再発の一因として,陽性金属を含む食品の摂取や特定の環境要因が疑われた.これらの結果は限定された症例に基づくものであり,さらなる研究と検証が必要であるものの,陽性金属を含む歯科金属の除去はPPPの改善に有効である可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Masui Y, Ito A, Akiba Y, et al. Dental metal allergy is not the main cause of palmoplantar pustulosis. J Eur Acad Dermatol Venereol 2019; 33: 180-181.