[P-62] 混合組成積層型ディスクの厚径がジルコニアブリッジの焼結ひずみに及ぼす影響
[Abstract]
【目的】 歯科用ジルコニアは,様々な種類が臨床応用され,特にY2O3添加濃度を調整し,透光性のグラデーションを形成した混合組成積層型は,全顎に渡り適用されている.一方,ジルコニアの焼結ひずみについて,多くの研究がなされてきた.我々は,ジルコニアディスクの垂直的加工領域によってひずみの様相が異なることを報告した1).本研究では,厚径の異なる混合組成積層型ジルコニアによる積層構成の違いが焼結ひずみに及ぼす影響を調査する.
【方法】 4ユニットジルコニアブリッジを想定した試験用ブリッジの3Dデータを作成した.材料は混合組成積層型ジルコニア(厚さ14mm,18mm,22mm)とした.加工領域を,ディスクのエナメル側[領域Ⅰ],中央[領域Ⅱ],サービカル側[領域Ⅲ]に設定した (n = 7).両支台装置マージンの位置関係をデジタル計測し,完全焼結前後の差を焼結ひずみとした.
【結果と考察】 混合組成積層型ジルコニアで製作した試験用ブリッジには僅かな焼結ひずみが観察された.さらに,焼結ひずみは加工領域によって程度と量にばらつきが生じ,それは厚いディスク程,大きくなることが明らかとなった.ジルコニアはY2O3添加濃度に応じて収縮率や収縮挙動が変化する2).よって,混合組成積層型ジルコニアディスクで製作した補綴装置では,収縮率が異なるジルコニアの層が同時に焼結されることとなる.より多くの層を満遍なく含む14mmディスクの試験用ブリッジでは焼結ひずみが相殺され,領域間のひずみの差が小さかったものと推察される.補綴装置の高径に近いディスク選択の必要性が示唆された.
【参考文献】 1)Mizuho Hirano, Syuntaro Nomoto, Toru Sato, et al., Sintering distortion of monolithic zirconia in 4-unit fixed partial denture: Effect of layered structure and vertical milling area. J Mech Behav Biomed Mater 2022; 128
2)Seiji Ban. Development and characterization of ultra-high translucent zirconia using new manufacturing technology. Dent Mater J 2023; 42(1): 1-10
【目的】 歯科用ジルコニアは,様々な種類が臨床応用され,特にY2O3添加濃度を調整し,透光性のグラデーションを形成した混合組成積層型は,全顎に渡り適用されている.一方,ジルコニアの焼結ひずみについて,多くの研究がなされてきた.我々は,ジルコニアディスクの垂直的加工領域によってひずみの様相が異なることを報告した1).本研究では,厚径の異なる混合組成積層型ジルコニアによる積層構成の違いが焼結ひずみに及ぼす影響を調査する.
【方法】 4ユニットジルコニアブリッジを想定した試験用ブリッジの3Dデータを作成した.材料は混合組成積層型ジルコニア(厚さ14mm,18mm,22mm)とした.加工領域を,ディスクのエナメル側[領域Ⅰ],中央[領域Ⅱ],サービカル側[領域Ⅲ]に設定した (n = 7).両支台装置マージンの位置関係をデジタル計測し,完全焼結前後の差を焼結ひずみとした.
【結果と考察】 混合組成積層型ジルコニアで製作した試験用ブリッジには僅かな焼結ひずみが観察された.さらに,焼結ひずみは加工領域によって程度と量にばらつきが生じ,それは厚いディスク程,大きくなることが明らかとなった.ジルコニアはY2O3添加濃度に応じて収縮率や収縮挙動が変化する2).よって,混合組成積層型ジルコニアディスクで製作した補綴装置では,収縮率が異なるジルコニアの層が同時に焼結されることとなる.より多くの層を満遍なく含む14mmディスクの試験用ブリッジでは焼結ひずみが相殺され,領域間のひずみの差が小さかったものと推察される.補綴装置の高径に近いディスク選択の必要性が示唆された.
【参考文献】 1)Mizuho Hirano, Syuntaro Nomoto, Toru Sato, et al., Sintering distortion of monolithic zirconia in 4-unit fixed partial denture: Effect of layered structure and vertical milling area. J Mech Behav Biomed Mater 2022; 128
2)Seiji Ban. Development and characterization of ultra-high translucent zirconia using new manufacturing technology. Dent Mater J 2023; 42(1): 1-10