[P-63] 最後方大臼歯のPEEKクラウン6ヶ月間の臨床評価
[Abstract]
【目的】
歯冠補綴材料は審美性や金属アレルギーの観点から金属代替材料への要求が高まっている.演者らは高機能性プラスチックであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の高い機械的強度,生体安全性および加工性に着目し,CAD/CAM応用で製作したPEEKクラウンを大臼歯に応用する臨床研究を行い,その有用性について報告した1).今回は,咬合力が大きく、負荷がかかると予想される最後方大臼歯に対象を絞り,その有効性を検証することを目的として “最後方大臼歯PEEKクラウンの臨床応用“(jRCTs062210076)と題した臨床研究を実施した.
【方法】
研究対象者は,広島大学病院,徳島大学病院または岡山大学病院外来で,重度う蝕等により最後方大臼歯のクラウン(単冠)による補綴治療が必要と診断され,研究に同意が得られた患者22名(男性3名,女性19名),平均年齢60.5歳(39~81歳)とした.CAD/CAM応用で通法どおり,松風ブロックPEEK((株)松風)を用いてクラウンを製作し,装着1カ月,3カ月および6カ月後のクラウンの状態(脱離,破折,変色・着色,咬耗・摩耗等),口腔機能および患者満足度等を評価した.
【結果と考察】
試適時のPEEKクラウンの適合状態は23装置中の22装置が良好,マージン部の適合はすべての装置において良好,隣接面の接触状態は概ね良好な結果を得られた.すべての評価時点において,脱離,破折,クラックの発生,疼痛および二次カリエスの発生は認められなかった.装着1カ月後から一部に咬耗・摩耗や表面の粗造化を認め,装着6カ月後の評価では,8装置で咬耗・摩耗,12装置で表面の粗造化を認めたが,着色などの他の臨床評価はすべての装置で概ね良好であった.患者満足度は,21名が満足と回答した.以上の結果から,PEEKクラウンは最後方大臼歯に応用可能であることが示唆された.
【参考文献】
1) Kimura H, Morita K, Nishio F et al., Clinical report of six-month follow-up after cementing PEEK crown on molars .SCIENTIFIC REPORTS 2022: 12(2)
【目的】
歯冠補綴材料は審美性や金属アレルギーの観点から金属代替材料への要求が高まっている.演者らは高機能性プラスチックであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の高い機械的強度,生体安全性および加工性に着目し,CAD/CAM応用で製作したPEEKクラウンを大臼歯に応用する臨床研究を行い,その有用性について報告した1).今回は,咬合力が大きく、負荷がかかると予想される最後方大臼歯に対象を絞り,その有効性を検証することを目的として “最後方大臼歯PEEKクラウンの臨床応用“(jRCTs062210076)と題した臨床研究を実施した.
【方法】
研究対象者は,広島大学病院,徳島大学病院または岡山大学病院外来で,重度う蝕等により最後方大臼歯のクラウン(単冠)による補綴治療が必要と診断され,研究に同意が得られた患者22名(男性3名,女性19名),平均年齢60.5歳(39~81歳)とした.CAD/CAM応用で通法どおり,松風ブロックPEEK((株)松風)を用いてクラウンを製作し,装着1カ月,3カ月および6カ月後のクラウンの状態(脱離,破折,変色・着色,咬耗・摩耗等),口腔機能および患者満足度等を評価した.
【結果と考察】
試適時のPEEKクラウンの適合状態は23装置中の22装置が良好,マージン部の適合はすべての装置において良好,隣接面の接触状態は概ね良好な結果を得られた.すべての評価時点において,脱離,破折,クラックの発生,疼痛および二次カリエスの発生は認められなかった.装着1カ月後から一部に咬耗・摩耗や表面の粗造化を認め,装着6カ月後の評価では,8装置で咬耗・摩耗,12装置で表面の粗造化を認めたが,着色などの他の臨床評価はすべての装置で概ね良好であった.患者満足度は,21名が満足と回答した.以上の結果から,PEEKクラウンは最後方大臼歯に応用可能であることが示唆された.
【参考文献】
1) Kimura H, Morita K, Nishio F et al., Clinical report of six-month follow-up after cementing PEEK crown on molars .SCIENTIFIC REPORTS 2022: 12(2)