クラウンブリッジ

[P-66] 各種市販接着性セメントとPEEKの剪断接着力へ及ぼすMMA系プライマーの効果

*加藤 真康¹、安部倉 仁¹、西尾 文子²、森田 晃司¹、梅原 華子¹、香川 和子¹、津賀 一弘¹ (1. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学、2. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機能再建学講座咬合機能補綴学分野)

[Abstract]
【目的】
　PEEKが大臼歯CAD/CAM冠の新規特定医療材料として承認された．保険診療ではPEEKの接着にサンドブラストおよびプライマー処理が必要とされる．MMA系の接着性レジンセメントおよびプライマーが有効であるが¹⁾，市販の接着性レジンセメントとMMA系プライマーを併用した場合の接着力への影響は不明である．本研究ではMMA系プライマーがサンドブラスト処理後のPEEKと接着性レジンセメントの接着力に及ぼす効果を調査した．
【方法】
　歯冠色PEEK (VESTAKEEP DC4450 G PEEK, Daicel-Evonik Ltd., Tokyo) を大小2種の直径を有する円板状試料に成形し，接着面にサンドブラスト処理を行った．プライマーはCAD/CAMレジンアドヒーシブ(松風)など3種，接着性レジンセメントはレジセムEX(松風)，スーパーボンドC＆B(サンメディカル)など8種とした．プライマー処理を行った大小2つのPEEK試料を各種セメントで接着し，37℃恒温槽に24時間，蒸留水中にて保管した．その後，材料試験機(AUTGRAPH：Shimadzu)にて圧縮剪断試験を実施し，接着力(MPa)を計測した．得られたデータから各種プライマーのセメント接着強さへの影響について評価した．統計手法はSteel-Dwass検定を用いた(p＜0.05)．
【結果と考察】
　レジセムEX+CAD/CAMレジンアドヒーシブ，スーパーボンド+CAD/CAMアドヒーシブの組み合わせが高い接着力を示した．一部メーカーを除き，サンドブラスト処理および特定のプライマー塗布により歯冠修復の装着に必要とされる10MPa以上の剪断接着力が得られた．PEEKクラウンの装着には接着性レジンセメントとプライマーの組み合わせを考慮する必要があることが示唆された．
【参考文献】
1) Soares P, Cadore AC, Chaves ET, et al. Surface Treatments and Adhesives Used to Increase the Bond Strength Between Polyetheretherketone and Resin-based Dental Materials: A Scoping Review. J Adhes Dent. 2022；16.