公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

インプラント

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-73] 戦略的抜歯を行いボーンアンカードブリッジで補綴治療を行った一症例

*トゥアソン さら1、新見 大輔1、相澤 真奈美1、吉岡 凜1、冨田 里緒1、前野 実香1、齊藤 寛之1、佐藤 隆介1、内倉 慶一朗1、桝谷 隆夫1、永田 浩司1,2 (1. 東京支部、2. 東京医科歯科大学生体補綴歯科学分野)

[Abstract]
【緒言】
 多発性う蝕および重度慢性歯周炎に同時に罹患した症例では, 治療計画は複雑になり, 治療の長期化や複雑な設計となった補綴装置の維持管理は難易度が高い. 本症例では, 戦略的抜歯を行うことで, 上記の問題を簡略化し良好な結果を得ることができたので報告する.
【症例の概要・治療内容】
 38歳男性, う蝕および咀嚼困難を主訴に来院した. 診査の結果, 全顎的な多発性う蝕および欠損歯列による咀嚼障害および審美障害と診断された. 可及的に歯を保存し補綴治療(可撤性補綴装置(A)およびインプラント固定性補綴装置(B))を行う方法と, 戦略的抜歯を行い抜歯後インプラント即時埋入, 埋入後即時修復による方法(C)を提案したところ, 患者は(C)を希望した. 治療計画の説明を行い同意が得られたため, 治療を実施した.
#17-27 #38 #35-48の抜歯後, #15, #12, #22, #25, #35, #32, #42, #45にインプラントを抜歯後即時埋入したところ, すべて初期固定35N/cm以上を獲得することができたため, スクリュー固定性プロビジョナルレストレーション(PR)を用い埋入後即時修復を実施した. 埋入3ヶ月後, PRで機能評価を行い異常を認めずまた患者および術者の満足を得ることができたため, 最終補綴装置の製作へ移行した. 上部構造にはモノリシック4Y-PSZを使用して製作を行った.
【経過ならびに考察】
 現在, 上部構造を装着し7ヶ月が経過しているが, 異常所見も無く経過は良好である. 戦略的抜歯を行いインプラント治療のみを行ったため, 6ヶ月間という比較的短期間で治療を終了することができた. 本症例において患者および術者の高い満足度が得られたのは, 複雑な部分欠損歯列を戦略的抜歯を行い無歯顎に移行させ治療計画を簡略化することができたからである.

【参考文献】
1) Gabriela SYG, Keith MFM, Eduardo PR. et.al. Oral health-related quality of life and satisfaction in edentulous patients rehabilitated with implant-supported full dentures all-on-four concept: a systematic review. Clin Oral Investig 2022;26:83-94.

(発表に際して患者の同意を得た. )