公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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インプラント

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-77] 口腔関連QoLを指標とした短縮歯列患者の固定性インプラント義歯治療効果の予測

*横井 匠1、楠本 友里子1、安部 友佳1、渡部 裕之1、三田 稔1、原 真央子1、松本 貴志1、酒向 遥香1、河田 蘭子1、馬場 一美1 (1. 昭和大学 歯学部 歯科補綴学講座)

[Abstract]
【目的】
 本研究はKennedy II級の大臼歯欠損を有する短縮歯列患者に対する固定性インプラント義歯(IFPD)を用いた補綴治療における口腔関連QoL改善の予測因子の探索と,その治療効果を明らかにすることを目的とした.
【方法】
 対象は上下顎いずれかにKennedy II級の第三大臼歯を除く大臼歯1~2歯欠損を有し,IFPDにより補綴する短縮歯列患者56名(平均年齢60.5±10.2歳,男性26名,女性30名)とした.口腔関連QoLはOral Health Impact Profile(OHIP)のサマリースコアおよび4つのディメンジョンスコア(口腔機能・審美性・痛み・心理社会的影響),咀嚼能率はグルコース溶出量(グルコラム,GC)を用い,術前および最終補綴装置装着1か月後(術後)に評価を実施した.術前後の比較をWilcoxonの符号順位検定を用いて行った.また,OHIPサマリースコアの最小重要差(MID)は6点と報告されているが1),このMID以上の改善の有無を目的変数,年齢,性別,術前の4つのディメンジョンスコアおよびグルコース溶出量を説明変数として二項ロジスティック回帰分析を行った(有意水準5%).
【結果と考察】
 術前後比較ではサマリースコア,各ディメンジョンスコア,グルコース溶出量の全ての項目で有意な改善が認められた.また,62.5%の患者にMID以上の改善を認めた.回帰分析の結果,口腔機能スコアに有意な関連が認められ(P=0.016,オッズ比:1.31,95%信頼区間:1.03-1.67),他には有意な関連を認めなかった.
 以上より,Kennedy II級の大臼歯欠損を有する短縮歯列患者に対するIFPD治療は口腔関連QoLおよび咀嚼能率の改善をもたらし,さらに術前のOHIP口腔機能スコアが口腔関連QoL改善の予測因子である可能性が示された.
【参考文献】
1) John MT, Reissmann DR, Szentpetery A, et al. An approach to define clinical significance in prosthodontics. J Prosthodont 2009;18:455-460.