公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

シンポジウム

現地発表+ライブ配信(オンデマンド配信あり)

シンポジウム1
口腔機能と栄養摂取からみた補綴歯科治療の意義

2024年7月6日(土) 09:00 〜 10:30 第1会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール A)

座長:池邉 一典(大阪大)、上田 貴之(東歯大)

共催:(一社)日本老年歯科医学会
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[SY1-2] 高齢期口腔機能と栄養:オーラルフレイルを中心に

*平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科/自立促進と精神保健研究チーム)

[Abstract]
2024年4月1日に「オーラルフレイルに関する3 学会合同ステートメント」(以下「合同ステートメント」)が,日本老年医学会,日本老年歯科医学会,日本サルコペニア・フレイル学会の3学会により公表された.オーラルフレイルは日本で考案された概念であり,2014 年に初めてその基本的な概念が提唱され,その後多岐にわたる検討が行われた.この10年で「口腔機能低下症」が新たに医療保険病名として整備されるなど,高齢期歯科口腔保健を取り巻く環境は変化した.一連の変化を踏まえ,オーラルフレイルの概念を再検討し「合同ステートメント」にいたった.オーラルフレイルは,食べることに関するさまざまな機能の「軽微な衰え」が重複し,「口の機能の低下」の危険性が増加している状態を表現した概念である.「口腔に関するさまざまな機能の軽微な衰え」に対する警鐘を早期から鳴らし,国民啓発を推進する目的で新たな概念図も作成された.その概念図は,口腔機能も含む健康な状態である「健口」から「オーラルフレイル」「口の機能低下」「口の機能の障害」以上4つのレベルから構成されている.また,オーラルフレイルのチェック項目であるOral frailty 5-item Checklist(OF-5)が提示された.OF-5で評価した場合,地域在住高齢者の約 4 割がオーラルフレイルに該当し,さらに疫学知見として,フレイル,食品摂取の多様性,社会交流,要介護認定,および死亡と関連する知見も出されている.高齢期口腔機能を支える概念である「オーラルフレイル」を中心に,栄養との関連も含め会場の皆様と考えるお時間をいただけたら幸いである.

トピックス
●口腔機能
●低栄養
●オーラルフレイル