公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

シンポジウム

現地発表+ライブ配信(オンデマンド配信あり)

シンポジウム5
咀嚼・咬合によるメカノバイオロジー:咀嚼・咬合力は体にどんな変化をもたらすか?

2024年7月7日(日) 09:00 〜 10:30 第2会場 (幕張メッセ国際会議場 2F 国際会議室)

座長:江草 宏(東北大)、二川 浩樹(広島大)

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[SY5-1] 荷重がインプラント周囲の骨質に与える影響を科学する

*黒嶋 伸一郎1,2 (1. 北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学分野冠橋義歯補綴学教室、2. 長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野)

[Abstract]
 硬組織は荷重に対して敏感に反応する.無重力状態では骨量や骨密度が低下し,硬組織に負荷がかかるスポーツ選手などでは,利き腕(足)の骨量や骨密度が増大する.一方,咀嚼荷重などで恒常的に荷重環境下にある顎骨では骨量がほとんど変化しないため,顎骨と長管骨では荷重応答性が異なっている.
 2000年に米国国立衛生研究所は,骨密度とは独立する骨質の概念を提唱したが,補綴歯科治療やデンタルインプラント治療を行う臨床家と関連領域の研究者には,骨質の正確な理解や把握が難しい.そのようななかで私達はインプラント周囲の骨質に着目して基礎的研究を行い,非荷重/荷重環境下におけるインプラント周囲の骨質が天然歯とは異なる特異な状況であることを見出し,荷重環境下で骨関連細胞や生体アパタイト結晶/コラーゲン複合体の優先配向に基づいた骨質を良好な状態へと変化させるインプラントデザインの存在を突き止めた.一方,デンタルインプラント治療では治療期間の短縮化が求められているが,基礎的な科学的背景がほとんど認められないで即時・早期荷重が実臨床で利用されている.そこで私達は早期荷重に関する基礎的研究を行い,早期荷重は通常荷重と比較して骨質向上効果が有意に高く,特定の分子が関与する可能性を見出した.
 本講演では,荷重環境下におけるデンタルインプラント周囲の骨質について明らかにしてきたことを解説するとともに,現在展開している基礎的研究も一部ご紹介をしながら,荷重とデンタルインプラント周囲の骨質について理解を深めていきたい.

トピックス
●骨質
●荷重
●デンタルインプラント