[0854] 廃用症候群を合併した心疾患患者のリハビリテーション
キーワード:廃用症候群, 心疾患, 多職種協同
【はじめに】廃用症候群(disuse syndrome:DS)は,高度のディコンディショニングのためリハビリテーション(リハ)に難渋する場合が多い。DSは平成22年4月より脳血管疾患リハ算定が可能となり,当院では同年10月より回復期リハ病棟を利用して,PTに加えOTとSTも介入した多職種協同のリハを開始した。回復期リハ病棟でのリハ導入前後で,DSを合併した心疾患患者のリハ効果を比較し,回復期リハ病棟を利用した多職種協同によるDSリハの有用性を検討した。
【方法】H18年10月~H22年9月(4年間)に一般病棟にてリハを行い,心大血管疾患リハビリテーション(心リハ)を請求したDS患者14例(一般病棟群:年齢87±7歳,男/女=8/6,基礎疾患〔慢性心不全9,心大血管術後3,虚血性心疾患2〕)とH22年10月~H25年9月(3年間)に回復期リハ病棟にてリハを行い,脳血管疾患リハ廃用症候群を請求したDS患者11例(回復期リハ病棟群:年齢81±9歳,男/女=9/2,基礎疾患〔慢性心不全5,心大血管術後5,虚血性心疾患1〕)を対象に,リハ期間,リハ提供単位数,リハ開始前・後のBNP値およびBarthel Index(BI),BI改善度,自宅復帰率について比較検討した。両群の年齢,性別,基礎疾患に有意差はなく,両群共に急性期病院への転院例,運動麻痺合併例は対象から除外した。PTは他の心リハ患者と同じ時間に,モニター監視下にリハを実施した。一般病棟群は通常の集団リハの困難な患者に対して,PTは起立・歩行訓練,アシスト機能付エルゴメータ等個別対応のマンツーマンのリハを実施し,回復期リハ病棟群は,PTに加えOTでADL-Ex,作業活動,STで発声・構音,嚥下,高次脳・認知に対するリハを必要に応じて追加するなど多職種協同のリハを提供した。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究はデータ抽出後,集計分析した後は個人情報を除去し,施設内の倫理委員会の審査を経て承認を得た。
【結果】回復期リハ病棟群は一般病棟群に比し,リハ期間(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔日〕=72±28vs41±26,p<0.01)は有意に長かった。回復期リハ病棟群は一般病棟群に比し,リハ提供単位数(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔単位/日〕=6.3±1.5vs2.4±1.1,p<0.01)も有意に高かった。回復期リハ病棟群は一般病棟群に比し,退院時BI(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔点〕=77±15vs54±18,p<0.01),BI改善度(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔点〕=35±23vs12±12,p<0.01),自宅復帰率(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔%〕=100vs29,p<0.01)は,有意に高かった。リハ開始前のBIおよびリハ開始前・終了時BNP値は,両群間に有意差を認めなかった。
【考察】一般病棟の入院期間は,DPCの関係で当院の場合1ヶ月間が限度であるが,回復期リハ病棟は最高3ヶ月間が可能となる。心リハの保険請求において,OTとSTのリハは実施できないが,DSの診断では,脳血管疾患リハでの請求が可能となりOTとSTの介入ができる。以前は,心疾患にADLの低下したDS患者に対してPTのみのリハを実施していた。現在は,PTに加え,OTとSTも介入したリハを実施し,心大血管疾患リハではなく,脳血管疾患リハDSとしてリハを請求した。ディコンデショニングの強い高齢の心疾患患者は,回復期リハ病棟でOTとSTを含めた多職種が協同して介入し,時間をかけてリハ提供量を増やすと,ADLの改善度が高く,家に帰られる可能性が高いことが分かった。
【理学療法学研究としての意義】回復期リハ病棟を利用した多職種協同のリハは,DSを合併した心疾患患者のリハ効果ならびに自宅復帰率を向上させる可能性が示唆された。
【方法】H18年10月~H22年9月(4年間)に一般病棟にてリハを行い,心大血管疾患リハビリテーション(心リハ)を請求したDS患者14例(一般病棟群:年齢87±7歳,男/女=8/6,基礎疾患〔慢性心不全9,心大血管術後3,虚血性心疾患2〕)とH22年10月~H25年9月(3年間)に回復期リハ病棟にてリハを行い,脳血管疾患リハ廃用症候群を請求したDS患者11例(回復期リハ病棟群:年齢81±9歳,男/女=9/2,基礎疾患〔慢性心不全5,心大血管術後5,虚血性心疾患1〕)を対象に,リハ期間,リハ提供単位数,リハ開始前・後のBNP値およびBarthel Index(BI),BI改善度,自宅復帰率について比較検討した。両群の年齢,性別,基礎疾患に有意差はなく,両群共に急性期病院への転院例,運動麻痺合併例は対象から除外した。PTは他の心リハ患者と同じ時間に,モニター監視下にリハを実施した。一般病棟群は通常の集団リハの困難な患者に対して,PTは起立・歩行訓練,アシスト機能付エルゴメータ等個別対応のマンツーマンのリハを実施し,回復期リハ病棟群は,PTに加えOTでADL-Ex,作業活動,STで発声・構音,嚥下,高次脳・認知に対するリハを必要に応じて追加するなど多職種協同のリハを提供した。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究はデータ抽出後,集計分析した後は個人情報を除去し,施設内の倫理委員会の審査を経て承認を得た。
【結果】回復期リハ病棟群は一般病棟群に比し,リハ期間(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔日〕=72±28vs41±26,p<0.01)は有意に長かった。回復期リハ病棟群は一般病棟群に比し,リハ提供単位数(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔単位/日〕=6.3±1.5vs2.4±1.1,p<0.01)も有意に高かった。回復期リハ病棟群は一般病棟群に比し,退院時BI(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔点〕=77±15vs54±18,p<0.01),BI改善度(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔点〕=35±23vs12±12,p<0.01),自宅復帰率(回復期リハ病棟群vs一般病棟群〔%〕=100vs29,p<0.01)は,有意に高かった。リハ開始前のBIおよびリハ開始前・終了時BNP値は,両群間に有意差を認めなかった。
【考察】一般病棟の入院期間は,DPCの関係で当院の場合1ヶ月間が限度であるが,回復期リハ病棟は最高3ヶ月間が可能となる。心リハの保険請求において,OTとSTのリハは実施できないが,DSの診断では,脳血管疾患リハでの請求が可能となりOTとSTの介入ができる。以前は,心疾患にADLの低下したDS患者に対してPTのみのリハを実施していた。現在は,PTに加え,OTとSTも介入したリハを実施し,心大血管疾患リハではなく,脳血管疾患リハDSとしてリハを請求した。ディコンデショニングの強い高齢の心疾患患者は,回復期リハ病棟でOTとSTを含めた多職種が協同して介入し,時間をかけてリハ提供量を増やすと,ADLの改善度が高く,家に帰られる可能性が高いことが分かった。
【理学療法学研究としての意義】回復期リハ病棟を利用した多職種協同のリハは,DSを合併した心疾患患者のリハ効果ならびに自宅復帰率を向上させる可能性が示唆された。