[1457] 千葉県理学療法士会公益事業部スポーツ健康増進支援部の挑戦
Keywords:転倒予防活動, 立ち上がりテスト, 過信
【はじめに,目的】
高齢者の転倒予防の実践は,各個人の健康寿命延命のみならず,実益的な医療費削減や介護費削減,さらには地域,自治体の活性への貢献として今後の重要課題といえる。加えて運動機能の維持向上への取り組みは,現在,歩行機能の低下を自覚する世代から,その予備軍的な世代に対する幅広い働きがけが必要である。
我々,千葉県理学療法士会は,県内における専門領域職能団体として,千葉県民の能動的で活発な健康社会づくりに寄与するため,千葉県理学療法士会公益事業局スポーツ健康増進支援部の取り組みとして2010年度より「千葉県から転倒を減らそうプロジェクト」を展開している。本取り組みは県内士会員による転倒予防を目的とした転倒予防セミナーの開催と歩行年齢測定会の実施を行なっている。測定会は,有志の県士会員の協力を得ながら県内各地で開催される健康増進,福祉関連イベントなどに千葉県理学療法士会として出展を行い実施している。各測定会では測定結果をもとに,その場でフィードバックと自己管理方法としてのエクササイズ指導を合わせて行っている。
今回は我々が実施した歩行年齢測定会の結果を基に今後我々理学療法士が改めて目を向けるべきであろう予防について考察する。
【方法】
歩行年齢測定は,県内各地で開催されている健康増進,福祉関連イベントや敬老に日に開催する某百貨店との協賛により開催しているイベントなどに千葉県理学療法士会として出展し,各個人に合わせたフィードバックと自己管理方法としてのエクササイズ指導を行うと共に標準値作成のためのデータ蓄積を行っている。
測定項目は,体組成(身長,体重,体脂肪率),Functional reachテスト(以下FR),Timed up&goテスト(以下TUG),立ち上がりテスト,2stepsテストの5項目を行った。今回は測定項目のうち立ち上がりテストの参加者予測値(参加者本人が立ち上がれると感じた高さと)と実測値(実際に立ち上がることができた高さ)の差について検討し,その後,2stepsテストとの関連について検討した。対象者は2013年6月~10月イベントに参加された298名(10~85歳,平均63.9±14.8歳,男性73名・女性225名)であった。
【倫理的配慮,説明と同意】
測定に参加する県民には文章ならびに口頭にて十分な説明を行い参加する意志を確認した上で,測定を行った。また,測定会運営スタッフに対しては事故対応としてスポーツ健康増進支援部でイベント保険に加入した。
【結果】
立ち上がりテストにおける参加者予測値と実測値の差は,両足の立ち上がりで24名,全体の8.05%であり,片足の立ち上がりで146名,全体の48.9%であった。その後の検討として片足の予測値と実測値に差を認めた146名の片足立ち上がりテストと2stepsテストの関係についてマン・ホイットニー検定を行なった結果p<0.01で有意な相関があった。
【考察】
千葉県理学療法士会は,県内における専門領域職能団体として,千葉県民の能動的で活発な健康社会づくりに寄与するため,これまで,千葉県理学療法士会公益事業局スポーツ健康増進支援部の取り組みとして2010年度より「千葉県から転倒を減らそうプロジェクト」を展開してきた。
臨床現場の中で慣れ親しんだ自宅での転倒が受傷起点となる症例を担当するケースが多くある,それらの原因の1つに自分の体力や能力の過信があると考え,今年度より立ち上がりテストの前に予測値を聴取することとした。予測値と実測値との差は,両足での立ち上がりテストにおいて全体の8.05%が,片足での立ち上がりテストでは全体の48.9%の参加者が予測値よりも実測値が下回る結果となった。また,それらの結果は2stepsテストから算出される2steps値との検討においても有意な差を示したことから,過信によりできると思い込んで行なった動作において転倒を起こすことも考えられた。
我々は測定会において予測値と実測値に差が生じた参加者にはその結果を伝え,各個人にプログナムや運動指導の提供を行なっている。このような活動を続けることでロコモティブシンドロームなどに対する予防的な取り組みの大切さを伝えると共に,理学療法士の活動領域の拡大などの足掛かりとして進めていきたいと考えている。
【理学療法学研究としての意義】
理学療法士が国民の健康寿命延伸や,転倒予防活動に積極的に参加することで理学療法士の認知向上はもとより。理学療法士の知識技術が健康増進分野へも十分寄与することが示唆され,予防分野への職域拡大に貢献すること考える。
高齢者の転倒予防の実践は,各個人の健康寿命延命のみならず,実益的な医療費削減や介護費削減,さらには地域,自治体の活性への貢献として今後の重要課題といえる。加えて運動機能の維持向上への取り組みは,現在,歩行機能の低下を自覚する世代から,その予備軍的な世代に対する幅広い働きがけが必要である。
我々,千葉県理学療法士会は,県内における専門領域職能団体として,千葉県民の能動的で活発な健康社会づくりに寄与するため,千葉県理学療法士会公益事業局スポーツ健康増進支援部の取り組みとして2010年度より「千葉県から転倒を減らそうプロジェクト」を展開している。本取り組みは県内士会員による転倒予防を目的とした転倒予防セミナーの開催と歩行年齢測定会の実施を行なっている。測定会は,有志の県士会員の協力を得ながら県内各地で開催される健康増進,福祉関連イベントなどに千葉県理学療法士会として出展を行い実施している。各測定会では測定結果をもとに,その場でフィードバックと自己管理方法としてのエクササイズ指導を合わせて行っている。
今回は我々が実施した歩行年齢測定会の結果を基に今後我々理学療法士が改めて目を向けるべきであろう予防について考察する。
【方法】
歩行年齢測定は,県内各地で開催されている健康増進,福祉関連イベントや敬老に日に開催する某百貨店との協賛により開催しているイベントなどに千葉県理学療法士会として出展し,各個人に合わせたフィードバックと自己管理方法としてのエクササイズ指導を行うと共に標準値作成のためのデータ蓄積を行っている。
測定項目は,体組成(身長,体重,体脂肪率),Functional reachテスト(以下FR),Timed up&goテスト(以下TUG),立ち上がりテスト,2stepsテストの5項目を行った。今回は測定項目のうち立ち上がりテストの参加者予測値(参加者本人が立ち上がれると感じた高さと)と実測値(実際に立ち上がることができた高さ)の差について検討し,その後,2stepsテストとの関連について検討した。対象者は2013年6月~10月イベントに参加された298名(10~85歳,平均63.9±14.8歳,男性73名・女性225名)であった。
【倫理的配慮,説明と同意】
測定に参加する県民には文章ならびに口頭にて十分な説明を行い参加する意志を確認した上で,測定を行った。また,測定会運営スタッフに対しては事故対応としてスポーツ健康増進支援部でイベント保険に加入した。
【結果】
立ち上がりテストにおける参加者予測値と実測値の差は,両足の立ち上がりで24名,全体の8.05%であり,片足の立ち上がりで146名,全体の48.9%であった。その後の検討として片足の予測値と実測値に差を認めた146名の片足立ち上がりテストと2stepsテストの関係についてマン・ホイットニー検定を行なった結果p<0.01で有意な相関があった。
【考察】
千葉県理学療法士会は,県内における専門領域職能団体として,千葉県民の能動的で活発な健康社会づくりに寄与するため,これまで,千葉県理学療法士会公益事業局スポーツ健康増進支援部の取り組みとして2010年度より「千葉県から転倒を減らそうプロジェクト」を展開してきた。
臨床現場の中で慣れ親しんだ自宅での転倒が受傷起点となる症例を担当するケースが多くある,それらの原因の1つに自分の体力や能力の過信があると考え,今年度より立ち上がりテストの前に予測値を聴取することとした。予測値と実測値との差は,両足での立ち上がりテストにおいて全体の8.05%が,片足での立ち上がりテストでは全体の48.9%の参加者が予測値よりも実測値が下回る結果となった。また,それらの結果は2stepsテストから算出される2steps値との検討においても有意な差を示したことから,過信によりできると思い込んで行なった動作において転倒を起こすことも考えられた。
我々は測定会において予測値と実測値に差が生じた参加者にはその結果を伝え,各個人にプログナムや運動指導の提供を行なっている。このような活動を続けることでロコモティブシンドロームなどに対する予防的な取り組みの大切さを伝えると共に,理学療法士の活動領域の拡大などの足掛かりとして進めていきたいと考えている。
【理学療法学研究としての意義】
理学療法士が国民の健康寿命延伸や,転倒予防活動に積極的に参加することで理学療法士の認知向上はもとより。理学療法士の知識技術が健康増進分野へも十分寄与することが示唆され,予防分野への職域拡大に貢献すること考える。