第50回日本理学療法学術大会

講演情報

口述

参加型症例研究ディスカッション 口述5

訪問理学療法

2015年6月5日(金) 18:40 〜 19:40 第5会場 (ホールB5)

座長:増田芳之(静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科), 小山樹(株式会社ジェネラス)

[O-0294] 訪問リハビリにおいて多職種の専門性が発揮された症例から得た経験

胃がん胃切除後,るい痩著明利用者の在宅生活を最期まで支えるために

小野雅之, 臼居優, 橋本恵, 加藤太一 (AMG桜ヶ丘中央病院)

キーワード:多職種連携, 専門性, 訪問リハビリ

【目的】訪問リハビリにおいては利用者の在宅生活を支えるために,生活機能に焦点を当て多職種連携が必要であるとされることが多い。今回多職種が専門性を発揮し,胃がん胃切除後の症例の在宅生活を最期まで支えられた経験について報告する。
【症例提示】x年胃がん発症の60代女性。胃切除後であり,るい痩著明,背部にStageIIの褥瘡あり。夫と二人暮らし。食欲不振,脱水,低栄養にてA病院入院。点滴治療後,胃瘻,ポート造設適応外と診断され,在宅療養を強く望み退院。退院後2回目のサービス担当者会議にて,症例の出来ることやADL拡大を図るため訪問リハビリが検討され導入に至る。
【経過と考察】入院中は全身状態不良のためリハビリの指示なし。退院時は夫が看護師の介助技術指導を受けた。環境設定について特別な指導は行われず,ケアマネジャー(以下CM)と福祉用具業者にて行う。訪問リハビリ初回介入時に症例の出来る動作と介助方法の指導を夫とCMに行い,ベッドの頭尾方向,マットレス,車いすの変更を提案した。4日後には福祉用具業者も同席し用具の変更が行えた。その結果起き上がり動作が軽介助で可能となり,座位も安定し,夫とも短距離の手引き歩行が可能になり,ポータブルトイレが使用できる等ADLの拡大が図れた。2週目にはCMの呼びかけで,以前から利用していたデイサービスと訪問看護のスタッフが集まり,出来るADLと介助方法の伝達を自宅にて行えた。その後離床時間の延長と活動性の向上が見られ,デイサービスの通所日を3日に増やすことができ,夫の介護負担軽減にも繋がった。本症例から各職種が各々出来ることを真摯に実行し,出来ないことは他職種と連携を図ることで,活動的な在宅生活を3ヶ月であったが最期まで支える経験ができた。今後も利用者とその家族を支援していくうえで,理学療法士としての専門性を高めつつ,多職種連携に努めていく必要性を強く感じている。