第50回日本理学療法学術大会

講演情報

口述

参加型症例研究ディスカッション 口述10

脳卒中理学療法と装具

2015年6月7日(日) 08:30 〜 09:30 第4会場 (ホールB7(2))

座長:神沢信行(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部理学療法学科), 萩原章由(横浜市立脳血管医療センター)

[O-0631] 靴べら式プラスチック製短下肢装具への簡易的工夫により装着が自立した片麻痺症例

丸山陽介, 伊元勝美 (神谷病院リハビリテーションセンター)

キーワード:靴べら式プラスチック製短下肢装具, 自己装着, 片麻痺

【目的】脳血管疾患により片麻痺を呈した症例に対し下肢装具が処方される機会は多く,中でもプラスチック製短下肢装具は多く経験する。しかし,装具の自己装着が困難なためにADLに支障がでる場合もある。今回,靴べら式プラスチック製短下肢装具(SHB)の装着に当初,介助を要したが簡易的な工夫により装着が自立した症例を経験した。
【症例提示】右視床出血による左片麻痺の70歳代の女性,発症18日目に当院転院となり,86日目にSHB作製し装着練習を開始するも自立せずに経過。126日目にSHBへ簡易的な工夫を実施し,186日目に装着自立となった。PT評価(126日目)はBrunnstrom stage上肢II-手指II-下肢III,感覚障害は麻痺側上下肢に中等度あり。高次脳機能障害は半側空間無視を認め左側の注意が低下していた。座位は保持可能も非麻痺側優位で随意的な麻痺側前方への体幹移動範囲は少なく麻痺側前方へ転倒の危険があった。
【経過と考察】SHBは継ぎ手なしで固定バンドは外側に付いているタイプ。当初,装着時に麻痺側前方への体幹側屈と屈曲が少なく下腿をSHBに入れられず,加えて足関節と足部ベルトが足底の下に挟まれた。その後の足関節・足部ベルト装着時には麻痺側前方へ転倒の危険があり介助を要した。そのため,下腿ベルトと足関節ベルト間の支柱外側部にメスのベルクロ(縦15cm×横2cm)を貼付し,足関節・足部ベルトを一時的に止める部位を作った。事前に足関節・足部ベルトを貼付したベルクロに一時的に張り付け下腿を入れる空間を確保することで,SHBに入れることが容易となりベルトが足底の下に挟まれなくなった。次にベルクロに止めておいた両ベルトをとりSHB内側にあるバックルへ通し固定することで,麻痺側前方への体幹移動範囲が減少し麻痺側前方へ崩れずに装着可能となった。今回,SHBに容易に入手可能なベルクロを貼付することで装着可能となり,メスのベルクロであるために下衣に付着せず外見も良好であった。