第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

ポスター1

卒前教育・臨床実習2

2015年6月5日(金) 16:10 〜 17:10 ポスター会場 (展示ホール)

[P1-C-0357] 医療系学生のリテラシーおよび専門基礎力育成のための初年時教育教材の開発

縄井清志5, 石垣明子1, 高尾敏文5, 松嶋美正5, 白子みゆき2, 日向野香織3, 中世古和真4, 深谷隆史1 (1.つくば国際大学産業社会学部メディア社会学科, 2.つくば国際大学医療保健学部保健栄養学科, 3.つくば国際大学医療保健学部看護学科, 4.つくば国際大学医療保健学部診療放射線学科, 5.つくば国際大学医療保健学部理学療法学科)

キーワード:リテラシー, 初年時, 医学教育

【はじめに,目的】現在の医療専門職者には,自分自身が高い能力を身につけることだけでなく,患者・サービス利用者やその家族の意思にもとづいた目標に向かって,自らの専門性を発揮しつつ,さまざまな領域の専門職者と連携し協働していくことが不可欠である。想起的な知識だけでなく,知識の活用,専門家としての態度・マナー・コミュニケーション力は重要であり,今後新たな教育方法の開発が期待される領域である(吉岡2006)。石垣(2011)は,OECD(経済協力開発機構)によって2000年から実施されているPISA調査(国際学力到達度調査)において,日本人の15歳の論理的表現力を含む読解力の低さから,論理的に表現する力の育成の必要性を指摘している。理学療法の卒前教育においても医療専門職者としての資質や自己教育力の育成,患者や他の専門職者とのコミュニケーション能力を身につけさせる必要がある(理学療法士協会2010,WCPT2011)。また,米谷(2011)は,学校教育の問題点として読書教育と情報リテラシー教育の乖離を指摘している。しかし連携を可能とするコミュニケーション力や自身の学習課題を解決する能力が低く,こころざし半ばで進路変更(退学)したり,臨床教育の単位認定が得られない学生が多く見られている。その原因の一つとして,読み書き能力の低さが考えられる。本研究の目的は,医療系学生の初年次におけるリテラシー教育(読み書き能力)および専門基礎力育成のための教材開発である。
【方法】医療保健学部の全4学科(理学療法学科,看護学科,保健栄養学科,診療放射線学科)リテラシー教育の専門家にてブレインストーミング法にて必要な教育内容を抽出した。高校から大学への移行教育で必要な学習内容として,大学生としての勉強に取り組む姿勢,レポートの書き方,実習のマナー,医療系大学生に必要な基本的用語,専門領域で必要な基本的用語が抽出された。大学生として勉強に取り組む姿勢については,石垣が作成したFYE(First Year Experience)ハンドブックを修正加筆した。また,医療系が大学生に必要な基本用語は,大学受験参考書から100語抽出した。専門領域で必要な用語については,新学科の臨床検査学科の5学科にてついてそれぞれ100語抽出した。
【結果】7回の会議および推敲にて,全49頁の教材を作成した。なお,推敲の途中にて教員による推薦図書一覧と図書館案内,時間割管理表を追加した。
【考察】本教材を開発する上で留意した点は,以下のことであった。連携において重要なこととして適切な用語の理解があるが,用語の意味が各学科で異なるものが散見された。また,実習の時期と内容が学科で異なるため実習のマナーの内容についても検討を深めることが必要であった。今後,学生を被験者として本教材の有効性を検討する予定である。
【理学療法学研究としての意義】理学療法士はリハビリテーションの専門職として積極的に役割を果たすことが求められている。役割を果たすためには他職種と協働することが必要であり,その基礎を初年時から効果的に学習することは重要であり,本研究による教材開発は意義あるものと考えられる。