第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター6

教育/産業

2015年6月6日(土) 11:25 〜 12:25 ポスター会場 (展示ホール)

[P2-A-0465] 共分散構造分析による理学・作業療法士の業務負担感の構成要因の解析

越後あゆみ1, 安田雅美2, 由留木裕子1, 坂本麻結1, 岩月宏泰1 (1.青森県立保健大学大学院, 2.名古屋市立西部医療センター)

キーワード:業務負担感, 共分散構造分析, 療法士職場

【目的】現在,理学・作業療法士(以下,療法士)の職場では職員数の増加に伴い,専門分化も進み,職務の煩雑さ,勤務形態の変更,他職種との連携強化など仕事量が増大した。療法士の体感している業務における切迫感は各々が提供するサービスの質的低下をもたらし,利用者の満足度を著しく損なう結果をもたらす潜在的リスクと成り得る。本研究では共分散構造分析を用いて療法士の負担感要因の影響度合いを明らかにした。
【方法】対象は本研究の趣旨を理解した療法士139名であった。回答者は男性76名,女性63名であり,年齢階級別では30歳以上40歳未満が最も多かった。調査票は回答者の基本属性,職務に係わる5要素(勤務実態,職場の人間関係,組織コミットメント,仕事の満足感,他職種との連携,肉体的及び精神的負担感)を含めた25項目から構成されていた。データ処理はまず各質問項目の尖度から「属性」を除外し,10項目を観測変数として用いて療法士の負担感モデルを定め,また潜在変数から観測変数へのパス係数のうち各々1つを1に固定した。共分散構造分析ではまず各観測係数間の相関係数を求め,次いで欠損値を含むデータを有効活用するために最尤法を用いた。
【結果と考察】「負担感」からパス係数は「肉体的負担感」0.77,「精神的負担感」0.54であった。これは利用者への治療行為だけでなく,他職種との情報交換や書類作成などに忙殺されている現状を示している。次に,療法士の「負担感」に最も影響を与えているのはパス係数の絶対値が0.70と最も大きい「勤務実態」であり,この項目には「仕事量」,「職場での処遇」などの観測変数を含んでいた。さらに「連携状況」が「負担感」へのパス係数―0.49であったことから,連携状況が進むと負担感が軽減することを意味する。多職種との連携については現状では課題があり,今後カンファランスの改善する必要性が示唆された。