[P2-C-0424] 高頻度に褥瘡再発を繰り返す脊髄損傷の一症例
患者教育における療養日誌導入の試み
Keywords:褥瘡, 患者教育, 脊髄損傷
【目的】脊髄損傷者は麻痺に続発する様々な二次障害を併発し,その中で最も頻度が高いものは褥瘡である。褥瘡予防に対する患者教育の報告は多数あるが,褥瘡予防・管理ガイドライン(2009)では患者教育の十分な根拠と方法論は明確に示されていない。今回,療養日誌を通した患者教育を行い,創部癒合に繋がった症例を経験したので報告する。
【症例提示】28歳。女性。診断名:右坐骨部褥瘡。病歴:既往に統合失調症と非定型精神病があり,X-9年とX-7年に2度飛び降りにより脊髄損傷(T12-L1)受傷。以後,仙骨・坐骨・踵に褥瘡が出現・治癒に至る。X年6月頃より右坐骨部の褥瘡が出現。同年8月13日に単純縫縮術施行。8月15日から理学療法開始。初期評価:OHスケール:1.5点。T12以下完全対麻痺。筋力は上肢MMT4,体幹MMT2。起居動作は寝返り軽介助。その他未実施。ADLは食事・整容以外全介助。入院前生活:車いす生活者として自立し就労もしていた。褥瘡発生要因:高低差の移乗方法の未確立と社会生活上の除圧不足。
【経過と考察】術後,動作練習や除圧指導等行い,8月25日に自宅退院(創部離開あり),当部外来フォロー開始。9月8日に家屋調査を実施,褥瘡予防の意識向上と実際の生活場面の問題点の自覚を促すために療養日誌を開始した。その結果,今までの基本的動作の粗雑さの把握,医療者側の助言も受け入れやすくなった。また,褥瘡発生要因だけでなく入浴方法などのヒヤリ・ハットを本症例自身で抽出し,能動的に解決策を模索できるようになり,医療者側も目標を確認出来ることで時期を逃さず患者教育を行えるようになり10月8日に創部癒合に至る。療養日誌のメリットとして,問題点に対する具体的な目標や行動計画の明確化を患者自身で行える事などが挙げられる。脊髄損傷患者は高頻度に褥瘡を繰り返すため褥瘡予防をはかる方略は重要である。その方略の一つとして今回の療養日誌の導入は一定の効果を出したと考える。
【症例提示】28歳。女性。診断名:右坐骨部褥瘡。病歴:既往に統合失調症と非定型精神病があり,X-9年とX-7年に2度飛び降りにより脊髄損傷(T12-L1)受傷。以後,仙骨・坐骨・踵に褥瘡が出現・治癒に至る。X年6月頃より右坐骨部の褥瘡が出現。同年8月13日に単純縫縮術施行。8月15日から理学療法開始。初期評価:OHスケール:1.5点。T12以下完全対麻痺。筋力は上肢MMT4,体幹MMT2。起居動作は寝返り軽介助。その他未実施。ADLは食事・整容以外全介助。入院前生活:車いす生活者として自立し就労もしていた。褥瘡発生要因:高低差の移乗方法の未確立と社会生活上の除圧不足。
【経過と考察】術後,動作練習や除圧指導等行い,8月25日に自宅退院(創部離開あり),当部外来フォロー開始。9月8日に家屋調査を実施,褥瘡予防の意識向上と実際の生活場面の問題点の自覚を促すために療養日誌を開始した。その結果,今までの基本的動作の粗雑さの把握,医療者側の助言も受け入れやすくなった。また,褥瘡発生要因だけでなく入浴方法などのヒヤリ・ハットを本症例自身で抽出し,能動的に解決策を模索できるようになり,医療者側も目標を確認出来ることで時期を逃さず患者教育を行えるようになり10月8日に創部癒合に至る。療養日誌のメリットとして,問題点に対する具体的な目標や行動計画の明確化を患者自身で行える事などが挙げられる。脊髄損傷患者は高頻度に褥瘡を繰り返すため褥瘡予防をはかる方略は重要である。その方略の一つとして今回の療養日誌の導入は一定の効果を出したと考える。