第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター7

地域/在宅

2015年6月7日(日) 10:50 〜 11:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0812] 在宅脳卒中片麻痺者の生活空間範囲を判別する因子:第2報

―広範囲活動群と狭範囲活動群の比較―

及川真人1,2, 久保晃2, 山中誠一郎1 (1.初台リハビリテーション病院, 2.国際医療福祉大学大学院)

キーワード:脳卒中片麻痺, 生活空間, 歩行

【目的】
生活期リハビリテーション(以下リハ)において,生活空間が広がることは,ICFにおける活動・参加の拡大につながり有意義である。我々は,第49回日本理学療法士学術大会において,脳卒中片麻痺者の生活空間を広範囲群(広群)と狭範囲群(狭群)に分け,判別因子が移動能力であることを報告した。今回,第2報として,在宅脳卒中片麻痺者を対象に,広群と狭群を判別する因子の特定を再検討した。
【方法】
対象は,当院に通院している脳血管障害により片麻痺を呈した126名(男性68名 女性58名 年齢60.7±13.5歳)とした。データを採用するにあたり,発症から180日が経過しており,リハ室を近位見守り以上で歩行可能な者を対象とし,評価欠損者及び両麻痺・失調症状の者は除外した。電子カルテより,性別,年齢,疾患名,障害側,発症経過日数,LSA,下肢ブルンストロームステージ,感覚障害有無,10m歩行時間,バランス(BBS),6分間歩行(6MD),30秒立ち上がりテスト(CS30),ADL(FIM)を収集した。従属変数は町内・町外自立群を広群,近隣・近辺・住居・寝室自立群を狭群と設定し,その他評価項目を独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。変数選択は減少法を用いた。また,抽出因子についてROC解析を行い,カットオフ値を算出した。統計解析はSPSSを用いた。
【結果と考察】
生活空間の広がりに影響する因子として性別(オッズ比0.216),発症経過日数(オッズ比1.001),10m歩行時間(オッズ比0.663)が選択された(p<0.05)。判別的中率は87.3%であった。ROC曲線から10m所要時間のカットオフ値が13.9秒となった。今後,生活期リハにおいて,10m歩行時間から生活空間の広がりを判別し,移動範囲の具体的な目標設定を行うことが重要であると考える。また,カットオフ値を目標とし,歩行パフォーマンス向上に対するアプローチが行われる事で,生活空間の拡大が促されると考える。