第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

ポスター3

脳損傷理学療法9

2015年6月7日(日) 10:50 〜 11:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-1031] Stroke Care Unitにおける集中的なリハビリ介入の取り組みについて

藤井勇佑, 村上祐介, 河原利枝 (脳神経センター大田記念病院)

キーワード:Stroke Care Unit, 早期リハビリテーション, 集中的

【はじめに,目的】当院は脳卒中の専門病院であり,現在,18床のStroke Care Unit(以下SCU)を運営している。急性期治療に加え,早期退院支援にも力を入れており,SCU内において,週2回,多職種参加のカンファレンスを実施している。よりよい早期退院を実現するためには,早期離床や早期ADL拡大を含めた積極的なリハビリの介入のさらなる拡大が必要と考え,2014年6月から理学療法士(以下,PT)の早期リハの実施回数を1日1回から2回に増加させた。今回,SCUの取り組みにおける介入前後の患者動向を調査・分析し,今後の課題について検討したので報告する。【方法】対象は,2013年6月から9月および2014年6月から9月までに当院に入院しリハビリを施行した脳梗塞患者である。そのうち,理学療法の早期リハの実施回数が1回であった2013年6月から2013年9月の期間の急性期脳梗塞患者をA群,理学療法の早期リハの実施回数が2回であった2014年6月から2014年9月の期間の急性期脳梗塞患者をB群とした。対象群の内訳は,A群が170名(男性102名,女性68名)であり,平均年齢は,75.7±10.6歳であった。また,B群は169名(男性97名,女性72名)であり,平均年齢は76.3±11.3歳であった。調査項目は,1日当たりの理学療法の平均リハ実施単位数,在院日数,当院退院時の転帰とした。【結果】対象者は,ベースラインとして年齢,性別,入院時NIHSSでは2群間に有意な差は認めなかった。1日当たりの理学療法のリハビリ実施単位数は,A群が2.0±0.4単位,B群が2.7±0.7単位であり,B群の単位数が有意に多かった(P<0.001)。在院日数は,A群が23.2±14.3日,B群が17.5±9.0日であり,B群の在院日数が有意に少なかった(P<0.001)。また当院退院時の転帰は,A群の死亡率が1.8%でB群が3.0%,A群の自宅退院率が45.3%でB群が41.4%,A群の転院率が50.0%でB群が52.1%,A群の施設入所率が2.9%でB群が3.6%であり,それぞれ2群間に有意な差は認めなかった。【考察】入院後早期からリハビリ実施数を増加することにより,1日当たりの理学療法のリハビリ実施単位数は増加し,在院日数も短縮したが,退院時の転帰には変化は認めなかった。リハビリ実施数を増加することで,急性期脳卒中患者の重点的なリハビリの早期介入が可能となり,在院日数が短縮しても相応のリハビリを提供が出来たことが,当院退院時の転帰に差がなかった理由と考えられる。今後は,さらなる在院日数の短縮のため,他職種との連携として組織的チームアプローチでもあるカンファレンス,また転院後の患者の転帰,ADLの変化なども追跡することが課題として挙げられる。【理学療法学研究としての意義】脳卒中急性期リハの現状から,SCUにおいて集中的にリハを実施することが,SCUでの集中的なリハの重要性を示すことに繋がることが再認識された。さらに,集中的リハビリを継続的に展開していくためには,人的資源の確保とセラピスト教育が今後の課題であると思われた。本研究は,Stroke Care Unitにおける集中的なリハビリ介入の有効性を示すものといえる。