第50回日本理学療法学術大会

講演情報

合同シンポジウム

日本医学教育学会 合同シンポジウム2

医学教育の進歩と理学療法

2015年6月5日(金) 16:00 〜 17:50 第2会場 (ホールC)

座長:浅香満(高崎健康福祉大学 保健医療学部理学療法学科)

[TS-05-4] 理学療法学教育の展望

居村茂幸 (植草学園大学保健医療学部理学療法学科)

国は,理学療法士・作業療法士法の公布2年前(昭和28年)より国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院(現廃校)を設置して,療法士の養成を開始していた。養成教育制定に際し,理学療法士制度のあるべき姿についてWHO顧問や世界理学療法士連盟事務局長などが勧告しており,要旨は「理学療法士の試験および養成機関による教育の程度を,国際水準を下まわらないように維持すべき」,つまり然るべき教育内容で,当時の世界基準であった3年以上の養成期間を確保しなさいということである。
過去には,理学療法士免許を取得すればリハビリテーション戦力として即通用する療法士養成を目途に教育が成されてきた歴史はあるが,1人職場の占める割合も低下し,入職後の職場(療法士)教育も少なからず充実してきた今日,卒前教育の目標変更が必要で,伴い新たな教育内容の構築も必要である。また,医療職である我々の職域が,保健・予防,急性期・回復期・維持期医療から生活期と広範な領域に進展してきていることを考えると,コア・カリキュラム教授の推進・徹底のみでは領域網羅に限界があり,4年以上の教育期間延長も必須であろう。これに加えて,踏襲されている医学モデル(治療医学)の教育ピラミッドで果たして我々の職業に適切な教育モデルと言えるか,大いに議論する余地もある。協会の教育ガイドラインにいう“学ぶために,学ぶための基本的な姿勢や態度を早期に身につける事”を重視した卒前の到達目標「理学療法の基本的な知識と技能を習得するとともに自ら学ぶ力を育てる」は言い得て妙と私は考えるが,この目標達成には現在の卒前臨床実習や国家試験の立つ位置も再考する必要もある。
本シンポジウムでは,上記に派生する様々な問題を提起することで,変革すべき目標への足掛かりになれば幸いである。