第50回日本理学療法学術大会

講演情報

合同シンポジウム

日本静脈経腸栄養学会 合同シンポジウム5

チーム医療としての栄養管理

2015年6月6日(土) 12:30 〜 14:20 第4会場 (ホールB7(2))

座長:吉田剛(高崎健康福祉大学 保健医療学部理学療法学科)

[TS-10-3] チーム医療としての栄養管理・栄養療法を考える―管理栄養士の立場から―

岡田有司 (ハートランドしぎさん栄養部)

一般財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん(以下,当院)は総合的に高齢者をケアするために,精神科病床,認知症病床を多く有する700床の医療機関である。当院は地域の認知症高齢者,精神疾患患者を多く受け入れている性質上,患者の平均年齢は高齢化し,平均在院日数も長期になる傾向がある。当院には内科系疾患を精神科疾患に合併する患者をフォローするため,内科の常勤医師が勤務している。この内科医師,精神科医師,薬剤師,看護師,管理栄養士からなる栄養サポートチーム(以下,NST)を稼働させている。現在当院には理学療法士が2名勤務しているがNSTメンバーにはなっていない。
入院患者の高齢化により全身の筋力低下,ADLが低下する患者の増加は否めない。アルツハイマー病や脳血管障害からの摂食・嚥下障害,精神科疾患の治療に用いられる抗精神病薬による嚥下障害など,精神科領域には摂食・嚥下障害の患者が多い。そのためNSTはじめ病棟担当の管理栄養士には嚥下障害に関するコンサルテーションが多い。管理栄養士としては誤嚥しにくい(凝集性が高く,付着性が低い)食事の提案を行うことは当然であるが,摂食嚥下リハビリテーションの提案,全身状態の向上,座位・姿勢管理,摂食を可能にするための関節稼動域を広げることなどを提案している。この場合理学療法士の介入は不可欠で,管理栄養士が主治医に理学療法士の介入を依頼してもらうこともある。最近では理学療法士と管理栄養士,他のメディカルスタッフで摂食・嚥下をサポートするケースが増加してきている。
近年NSTの存在は医療施設にはなくてはならないものになってきている。これは急性期病院や亜急性期病院だけではなく,長期療養型医療機関でも同様である。安定した療養生活を患者に送ってもらうには基本的ケアである栄養管理の実施と身体機能に応じたリハビリテーション専門職の介入が不可欠であると考えられる。