2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

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[2P1-J-2] 機械学習: 限界の克服

2019年6月5日(水) 09:00 〜 10:20 P会場 (1F 展示ホール左奥)

座長:大塚 琢馬(NTT) 評者:角森 唯子(NTTドコモ)

09:40 〜 10:00

[2P1-J-2-03] 物理過程に基づくニューラルネットワークを用いたモデル残差項の学習

田中 潤也1、冨田 智彦2、沼尾 正行1、〇福井 健一1 (1. 大阪大学、2. 熊本大学)

キーワード:ディープラーニング、物理モデル、気象予測

機械学習システムでは,ノイズ外れ値を含む観測データから学習しているため既知の法則性を無視した出力を得る可能性がある.また,ニューラルネットワークに基づく深層学習では,予測・分類は高精度で行える一方で,学習モデルが複雑になり人間がモデルを解釈することが困難になるという欠点があった.特に原理を探求する自然科学分野では,予測や分類において高い精度が得られたとしても,モデルに説明性がなければ有用なモデルを獲得できたとは言えない.本研究では,自然科学分野で使用される物理モデルを機械学習モデルに統合することにより,このような問題点を解決する手法に着目した.本稿では,予測したい変数のみを教師データとして与え,機械学習モデルからの予測値の中で物理モデルで表すことのできる支配的な要素と,物理モデルのモデル残差を表すことのできるアルゴリズムを提案する.例として,対流圏上層の風を温度風方程式から予測する例に着目した.実験の結果,対流圏上層の風ベクトルのみを教師データとして与え,温度風方程式に基づく地衡風成分とそれ以外の非地衡風成分の特徴を捉え,かつ予測も高精度に行えることが示された.