2024年度 人工知能学会全国大会(第38回)

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オーガナイズドセッション » OS-22 知・情・意—AIが人間研究になるための哲学

[3N1-OS-22a] 知・情・意—AIが人間研究になるための哲学

2024年5月30日(木) 09:00 〜 10:40 N会場 (54会議室)

オーガナイザ:諏訪 正樹(慶應義塾大学)、藤井 晴行(東京工業大学)

09:40 〜 10:00

[3N1-OS-22a-03] 賞味の知能研究

知と眼の支配からの独立宣言

〇福島 宙輝1 (1. 神戸大学)

キーワード:味、香り、パフェ、時間性

味わうという知的な営みを、眼の科学の手法のおし着せではなく、舌と鼻の経験に即して研究したい。その一端を、機械のセンシングと人間の賞味の比較から議論する。味覚センサの数値をもって「味」とする研究は、明らかに何かを見逃している。だがそれは分析の手法やセンサの精度の未熟さが問題なのではない。足りないのは、味の認知研究を先導する思想と哲学である。知のレベルで測れば分かるのか、何を測ればよいのか、さらに我々の賞味経験、鼻腔と口腔で起きている情の、意のレベルの現象と関係はどのように特徴づけられるのかを語る思想が求められる。切り口は多いが、本研究では、食べるの時間性に着目したい。賞味の時間は、対象物の持つ時間や、口内での唾液分泌や撹拌といった物理的な時間だけでなく、(情のレベルの)現象の時間をもつ。現象の時間は、線形の時間だけではなく循環的な円時間、凝縮した点時間、時間が意識されていない無時間の四つの相をもつ。発表では、例題としてパフェとアシェットデセール(平皿デザート)を取り上げ、これらの時間相が重相的にひと皿の賞味経験を構成していることを示したい。

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