[1Win4-26] 進化的強化学習を用いたコミュニケーション創発における学習と進化の相互作用の解析
キーワード：人工知能、進化計算、学習機会
コミュニケーションの進化において，遺伝的進化と学習の相互作用を理解することは，進化生物学や人工知能分野における重要な課題である．本研究では，この相互作用を解明するため，ポリアの壺に基づく強化学習モデルに，遺伝子による行動バイアスの効果を導入した，進化的強化学習モデルを提案する．提案モデルでは，遺伝的要因が行動の初期条件を形成し，その条件を基盤としてコミュニケーションの成功率を向上させるような学習が行われる．実験では，提案モデルを用いたシミュレーションにより，シグナリングゲームを対象に，各個体の学習機会の量が遺伝的進化に与える影響を分析した．その結果，学習が進化を促進するとされるボールドウィン効果は確認されず，逆に学習機会の増加が進化速度を低下させる現象が観察された．この結果から，学習が進化に与える影響が単純ではなく，状況に依存することが示唆される．
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