2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)

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[2E5-OS-4b] 人間とAIの協調:エージェンシーと道徳性に関する社会的合意形成に向けて

2025年5月28日(水) 15:40 〜 17:20 E会場 (会議室1101-2)

オーガナイザ:上浦 基(同志社大学),久木田 水生(名古屋大学),河島 茂生(青山学院大学),直江 清隆(東北大学),Rafal RZEPKA(北海道大学)

17:00 〜 17:20

[2E5-OS-4b-05] AI倫理における常識道徳利用の限界を倫理学的に考える:メタ倫理学と動物倫理学の観点から

〇竹下 昌志1 (1. 北海道大学大学院情報科学院)

キーワード:種差別、動物倫理、AI倫理、常識道徳

本発表では、道徳的なAIの開発において常識道徳に依拠することの限界について、倫理学、特にメタ倫理学と動物倫理学の観点から議論する。本発表前半では、常識道徳一般の問題をメタ倫理学の観点から議論する。第一に、常識道徳は文化や個人によって異なり曖昧であるため、AIに実装すべき適切な常識道徳を特定することが困難である。第二に、仮に明確な常識道徳が存在したとしても、それは道徳的実在論に立脚する限り誤りを含む可能性が高いと思われる。本発表後半では、第二の点を支持するために、動物倫理学で議論されている種差別という観点から論じる。種差別とは、特定の種に属さない者に対する不当に比較的に悪い配慮または扱いのことである。動物倫理学の議論に基づき、人間以外の有感な動物も道徳的配慮の対象であると主張し、種差別を正当化することは困難であると論じる。しかし現代では多くの人は種差別的信念を共有しているため、常識道徳には種差別という道徳的に間違った考えが含まれていると主張する。以上の理由から、AI倫理において常識道徳に重要な役割を与えることには問題があると結論づける。

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