2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)

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[2H1-OS-8d] 金融・会計・経済における情報学

2025年5月28日(水) 09:00 〜 10:40 H会場 (会議室1003)

オーガナイザ:中川 慧(野村アセットマネジメント),平野 正徳(Preferred Networks),坂地 泰紀(北海道大学),酒井 浩之(成蹊大学),水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント),星野 崇宏(慶應義塾大学)

09:00 〜 09:20

[2H1-OS-8d-01] MD&A開示の定性情報が利益反応係数に与える影響

〇潔 屋嘉比1、黒木 裕鷹2,1,4、中川 慧3,1 (1. 大阪公立大学、2. Sansan株式会社、3. 野村アセットマネジメント株式会社、4. ログミー株式会社)

キーワード:MD&A、定性的表現、利益反応係数、投資家の情報処理

本研究は,日本の有価証券報告書における「経営者による財政状態及び経営成績の検討と分析」(MD&A)セクションの定性的情報が投資家行動に及ぼす影響を分析する.先行研究では,MD&Aが経営者の予測精度を高める役割が指摘されてきたが,投資家に対する情報価値,すなわち市場反応に対する影響は十分に解明されていない.そこで本研究は,MD&Aに含まれるの定性的表現の量が期待外利益(unexpected earnings)と株式リターンの関係,すなわち利益反応係数(Earnings Response Coefficient: ERC)に、どのように影響するかを分析する.まず,東京証券取引所上場企業のデータセットを用い,LLMのChatGPTを活用してMD&Aテキストの定性的記述を分類・測定した.次に,このデータを用いた実証分析の結果から,定性的開示自体は異常リターンに直接的な影響を与えないものの,予想外の利益との相互作用によりERCが有意に増加することが示された.このことは,詳細な定性情報の記述が財務パフォーマンスの文脈を提供し,投資家の理解を深める役割を果たしている可能性を示唆している.

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