2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)

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[4O3-OS-29b] デジタル人文学とAI

2025年5月30日(金) 14:00 〜 15:40 O会場 (会議室1010)

オーガナイザ:大向 一輝(東京大学),嘉村 哲郎(東京藝術大学),亀田 尭宙(人間文化研究機構),中村 覚(東京大学)

14:20 〜 14:40

[4O3-OS-29b-02] 「作者」再評価のダイナミクス

ジャパンサーチを用いた近世日本文学史の時系列分析

〇笠井 康平1、大向 一輝1 (1. 東京大学)

キーワード:時系列解析、デジタルアーカイブ、AI応用、データ駆動型人文学、日本文学史

時代を画する作家の評価は時間差を伴い、しばしば死後に評価されるといわれる。従来の文学研究では流行の周期性や記念日効果、新資料の発見といったトリガーが指摘されてきたが、そのダイナミズムは明確に分かっていなかった。しかし、近年のデジタルアーカイブの充実や時系列解析手法の充実により、生前・没後の評判形成に関わる重要なトリガーをより簡易に特定できると期待される。そこで本研究は、20世紀後半の古典文学全集に採録された近世期の著者(n=400)を対象に、横断型デジタルアーカイブ「ジャパンサーチ」のメタデータから時系列推移を作成・分析した。その結果、資料件数はロングテールであり、死後に評判を得た作家は少ないと分かった。また、生前の資料数が多い作者は、没後も定期的に再評価されるが、規則的な周期性は観察されなかった。このパターンは、研究蓄積と読者層の変化を示唆している可能性がある。今後、標本数の追加や資料性質の分類を行えば、より精緻な影響評価が行えるだろう。

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