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[4S3-OS-43-04] 人工知能は時間をつくるか
キーワード:人工知能、創造性、時間、倫理、基礎情報学
本発表は、生成AIの発展を視野に入れて、創造性を再考する。創造は他者産出と自己産出に大別できる。前者は創造主体と創造客体が別個である。後者は創造主体と創造客体が同一であるが、ただしそれは産出関係であるから、自己同一ではなく差異と遅延をともなう自律的な生成変化である。創造性をめぐるAI倫理は多くの場合前者の創造性に関係するが、その根底には後者の創造性の問題が横たわる。とくに自己産出は産物の生成ではなく自己の生成変化であるから、創造行為を通じた自己変容つまり成熟の時間を過ごすことが創造性の本質をなす。生産過程の技術的な自動化や効率化はこの時間を短縮するが、自己産出の観点から重要なのはむしろ、この時間をつくる技術である。それは労働の時短により余暇の時間を増やすことではなく、時熟の問題である。時間のなかでいかに生成するかではなく、そもそも時間がそこから発生してくるところの働きの問題である。これは身体化された心やエナクティビズムとも通ずる。この時間の問いに取り組む知は、産出的認識すなわち創造と知識の合一だからである。かくして本発表は人工知能と創造性をめぐり、成熟の時間の創造について問題提起する。
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