2023年第70回応用物理学会春季学術講演会

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一般セッション(口頭講演)

6 薄膜・表面 » 6.3 酸化物エレクトロニクス

[15p-A409-1~11] 6.3 酸化物エレクトロニクス

2023年3月15日(水) 13:00 〜 16:00 A409 (6号館)

上野 和紀(東大)

13:15 〜 13:30

[15p-A409-2] その場放射光電子分光によるCrドープVO2エピタキシャル薄膜の電子相図

志賀 大亮1,2、程 详遴1、金 兌炫1、神田 龍彦1,2、長谷川 直人1、北村 未歩2、吉松 公平1、組頭 広志1,2 (1.東北大多元研、2.KEK物構研)

キーワード:強相関電子系、金属-絶縁体転移、光電子分光

VO2が示す急激な電子相転移は、強相関効果と集団的V-V二量化が協調することで生じると考えられている。一方、これまで我々は、Cr:VO2薄膜が描く複雑な電子相図を報告してきた。この起源に迫るべく放射光分光による電子状態観測を行った結果、Cr:8at%ではCr3+置換により集団的二量化が抑制されている一方で、フェルミ準位近傍のV 3d状態及びエネルギーギャップは本質的にCr:0–8at%の範囲で不変であることが分かった。これらの結果から、Cr:VO2の電子相転移はV-V二量化支援型モット転移であると結論づけた。一方、Cr:>8at%ではモットギャップが観測された。この領域においては、モット不安定性がパイエルス不安定性に打ち勝つことで二量化を伴わないモット絶縁体相が安定化すると考えられる。