日本畜産学会第125回大会

講演情報

口頭発表

[I-29-13_14] 畜産物利用(I-午前)

2019年3月29日(金) 11:00 〜 11:20 第I会場 (8号館8301講義室)

座長:有原 圭三(北里大獣)

11:10 〜 11:20

[I29-14] ホエー給与による廃用性筋萎縮に伴う不安障害の改善

丸井 萌子1, 長澤 麻央1,2, 足立 華織1, 市毛 拓海2, 林 利哉1,2 (1.名城大院農, 2.名城大農)

【目的】高齢化の進む我が国において,それに伴う疾病への対策が急務である.病気や怪我により,寝たきりとなることの多い高齢者は廃用性筋萎縮を発症しやすいが,体が動かせないストレスから,うつや不安,さらには認知症などの脳機能障害を併発する.それらの完治は難しいことから,併発を未然に防ぐことが重要である.当研究室保有の乳酸菌を用いて作成した発酵乳には,長期摂取での抗不安様効果が確認されている.そこで,本研究では前述の発酵乳のホエーを摂取することで,廃用性筋萎縮に伴う不安障害を予防できるかを検証した.【方法】ICRマウス(7週齢,雄)の坐骨神経を切除することで廃用性筋萎縮モデルマウスを作製し,タンパク質濃度100 mgのホエー(ホエー投与群)または蒸留水(筋萎縮群)の給与を4週間行った.対照群は皮膚切開のみを行ったマウスとし,同様に蒸留水を給与した.その後,オープンフィールド試験を行い,マウスの不安様行動を観察した.【結果及び考察】オープンフィールド試験において,筋萎縮群では対照群と比較して,総移動距離に対する中央移動距離の割合が有意に減少した.それに対し,ホエー投与群では筋萎縮群でみられた値の減少が回復した.以上より,ホエーの摂取によって不安様行動の改善がみられたことから,筋力の低下した患者でも取り入れやすい食事療法の一環として,ホエーの利用が有効である可能性が示された.