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[VI29-18] No-U-Turn Samplerを用いたハミルトニアンモンテカルロ法による遺伝的パラメーターの推定性能
【目的】ハミルトニアンモンテカルロ(HMC)法は対数事後分布の勾配を利用して位相空間上のパラメーターを遷移させることで,ほとんど任意の分布に対して自己相関なくサンプリングできる手法である.No-U-Turn Sampler(NUTS)は位相空間上での動きを決めるステップの幅と回数をMCMCの過程で適応的に設定するアルゴリズムであり,HMC法によるサンプリングをより効率的に実施することができる.本研究では,NUTSを用いたHMC(HMC_NUTS)法による遺伝的パラメーターの推定性能について検証した.【方法】ギブスサンプリング(GS)法,HMC法およびHMC_NUTS法についてRを用いて実装し,単形質アニマルモデルにおける遺伝率の推定性能を比較した.集団のサイズを1,000,3,000および5,000,遺伝率を0.05および0.2として発生させたシミュレーションデータを用いて検証した.【結果】遺伝率が0.2のとき,すべての方法において真値に近い遺伝率が推定された.遺伝率が0.05のとき,HMC法では遺伝率の推定値は真値よりも高かった.一方,HMC_NUTS法では集団のサイズが3,000以上の場合に,GS法では集団のサイズに関わらず,遺伝率の推定値は真値に近い値が得られた.GS法に比べて,HMC法およびHMC_NUTS法ではサンプリング間の相関は低く,推定値の標準誤差は小さかった.