[CSS-01] ポストコロナの酪農・乳業
【これまでの状況】
新型コロナウイルス感染拡大防止の行動変容が消費行動にも変化を生じさせ、小売りの動向や乳業の製造・販売にも影響し、生乳の用途別需要や需給に様々な変化が生じた。
具体的には、昨年春先の一斉休校要請による学乳休止や、外出自粛によるホテルやレストラン、土産物、自販機製品等に使用される業務用乳製品の需要の大幅減による生乳廃棄の危機、また、一方で、家庭用需要(巣ごもり需要)が伸長し、夏休みの短縮による学乳増加などの極端な需給ひっ迫状況の発生など、これまで以上に短期間でひっ迫と緩和を繰り返し、需給調整上困難な対応を迫られる事となった。
【そもそも生乳需給は・・・】
牛乳含め乳製品は健康と生活に欠かすことのできない重要な食品であるが、元となる生乳が腐敗しやすい特性をもつことから、国内の生乳需給は過去の歴史からも逼迫と緩和を繰り返す中で地域や季節により生じる生乳の過不足に的確に対応しながら飲用牛乳等向けの安定供給に努め、その他保存のきく乳製品は国家貿易と合わせ需給の安定を図ってきた。
【コロナ禍への対応】
これまでの経験を活かし業界一体となった生乳の需給調整(消費喚起など理解情勢活動に加え、柔軟な製品製造、乳製品処理の最大化)に努め、更には国の支援も有効活用することで、これまで特に危惧された生乳の廃棄や、国民への牛乳乳製品の安定供給の不履行などは発生しておらず、また生産者の営農や乳業経営においても大きなリスクは回避できている状況にある。
【コロナ禍の今後の課題】
しかしながら、今後も不透明なコロナ禍においては、業務用を中心とした需要の減少が継続的に発生していることにより国内の脱脂粉乳や業務用バターの在庫が積み上がっている現状や、また景気悪化による市場からの価格下方圧力の懸念など、将来の酪農生産や生乳取引に関わる不安材料が積み上がっている現状にある。
【加えて、コロナ以外の課題も横たわる】
特に近年都府県の生乳生産基盤の弱体化により北海道生乳への依存が高まる中、多様な用途別需要への取引マッチングや船舶を含めた物流対応への課題等に取り組む最中にあり、生乳生産基盤の回復に向けた取り組みが進められてきた。また、くしくも2020年3月末に国が公表した「酪肉近」において、780万㌧という意欲的な生乳生産目標が示された矢先であり、国際的な市場開放の流れとともに牛乳乳製品需給の悪化が酪農家の生産意欲の減退につながらないよう業界や国上げての対応が求められる。
【今後のやるべきことやあるべき姿】
何よりも重要なのは、コロナに関係なく、これまで同様、需給上の課題に生乳取引を通じ、国・業界が一体となっての取り組み、その足を止めないこと。
また国内に輸入乳製品を含め約1,200万㌧ある生乳需要においては今回コロナ禍で経験した国内自給の重要性を再確認し、国際協調も一定図りつつも持続可能な酪農乳業経営を目指し消費者からの理解や応援を得ていく必要がある。
【具体的には】
・前項のあるべき姿に持って行くために、需給調整機能を強化して、まずは飲用向けを中心とした生乳需給を安定化させることが重要
・また食卓への安定供給のため、国も示す牛乳乳製品の適正価格の推進など、官民一体となった理解醸成を実施
・乳業者やそれ以外のユーザーも含め、使用率の拡大や新規需要の拡大をしっかりと実施してもらえうるようパートナーシップの強化
・従来と異なるチャネルとして重要性が増す、eコマース含め新たな市場ニーズや一部輸出に柔軟に対応するモノづくりと供給体制の整備
・酪農の生産性向上、労働負荷の軽減を図り、酪農の多面的機能発揮することで、酪農後継者の育成や地域を活性化
・畜安法の改正によりこれまでの指定団体以外への生乳販売が認められたが、結集している既存の生産者の不利益にならないための検証
以 上
新型コロナウイルス感染拡大防止の行動変容が消費行動にも変化を生じさせ、小売りの動向や乳業の製造・販売にも影響し、生乳の用途別需要や需給に様々な変化が生じた。
具体的には、昨年春先の一斉休校要請による学乳休止や、外出自粛によるホテルやレストラン、土産物、自販機製品等に使用される業務用乳製品の需要の大幅減による生乳廃棄の危機、また、一方で、家庭用需要(巣ごもり需要)が伸長し、夏休みの短縮による学乳増加などの極端な需給ひっ迫状況の発生など、これまで以上に短期間でひっ迫と緩和を繰り返し、需給調整上困難な対応を迫られる事となった。
【そもそも生乳需給は・・・】
牛乳含め乳製品は健康と生活に欠かすことのできない重要な食品であるが、元となる生乳が腐敗しやすい特性をもつことから、国内の生乳需給は過去の歴史からも逼迫と緩和を繰り返す中で地域や季節により生じる生乳の過不足に的確に対応しながら飲用牛乳等向けの安定供給に努め、その他保存のきく乳製品は国家貿易と合わせ需給の安定を図ってきた。
【コロナ禍への対応】
これまでの経験を活かし業界一体となった生乳の需給調整(消費喚起など理解情勢活動に加え、柔軟な製品製造、乳製品処理の最大化)に努め、更には国の支援も有効活用することで、これまで特に危惧された生乳の廃棄や、国民への牛乳乳製品の安定供給の不履行などは発生しておらず、また生産者の営農や乳業経営においても大きなリスクは回避できている状況にある。
【コロナ禍の今後の課題】
しかしながら、今後も不透明なコロナ禍においては、業務用を中心とした需要の減少が継続的に発生していることにより国内の脱脂粉乳や業務用バターの在庫が積み上がっている現状や、また景気悪化による市場からの価格下方圧力の懸念など、将来の酪農生産や生乳取引に関わる不安材料が積み上がっている現状にある。
【加えて、コロナ以外の課題も横たわる】
特に近年都府県の生乳生産基盤の弱体化により北海道生乳への依存が高まる中、多様な用途別需要への取引マッチングや船舶を含めた物流対応への課題等に取り組む最中にあり、生乳生産基盤の回復に向けた取り組みが進められてきた。また、くしくも2020年3月末に国が公表した「酪肉近」において、780万㌧という意欲的な生乳生産目標が示された矢先であり、国際的な市場開放の流れとともに牛乳乳製品需給の悪化が酪農家の生産意欲の減退につながらないよう業界や国上げての対応が求められる。
【今後のやるべきことやあるべき姿】
何よりも重要なのは、コロナに関係なく、これまで同様、需給上の課題に生乳取引を通じ、国・業界が一体となっての取り組み、その足を止めないこと。
また国内に輸入乳製品を含め約1,200万㌧ある生乳需要においては今回コロナ禍で経験した国内自給の重要性を再確認し、国際協調も一定図りつつも持続可能な酪農乳業経営を目指し消費者からの理解や応援を得ていく必要がある。
【具体的には】
・前項のあるべき姿に持って行くために、需給調整機能を強化して、まずは飲用向けを中心とした生乳需給を安定化させることが重要
・また食卓への安定供給のため、国も示す牛乳乳製品の適正価格の推進など、官民一体となった理解醸成を実施
・乳業者やそれ以外のユーザーも含め、使用率の拡大や新規需要の拡大をしっかりと実施してもらえうるようパートナーシップの強化
・従来と異なるチャネルとして重要性が増す、eコマース含め新たな市場ニーズや一部輸出に柔軟に対応するモノづくりと供給体制の整備
・酪農の生産性向上、労働負荷の軽減を図り、酪農の多面的機能発揮することで、酪農後継者の育成や地域を活性化
・畜安法の改正によりこれまでの指定団体以外への生乳販売が認められたが、結集している既存の生産者の不利益にならないための検証
以 上