日本畜産学会第128回大会

講演情報

ポスター発表

2. 遺伝・育種

2. 遺伝・育種

[P2-17] 北海道網走地区のホルスタイン集団における疾病記録の遺伝分析

〇阿部 隼人1、山口 諭1、中川 智史1、中堀 祐香1、後藤 裕作2、馬場 俊見2、川上 純平2、山本 展司3、河原 孝吉2 (1.北酪検、2.日ホ北支局、3.NOSAIオホーツク)

【目的】北酪検は2019年からNOSAIオホーツクとのデータ連携を開始し、北海道網走地区の診療記録を集積している。本研究は、同地区における疾病形質とその指標形質間の遺伝的関連の調査を目的とした。【方法】分析対象は、網走地区において2018年4月から2020年6月までに初産(2産)分娩した19,042頭(15,008頭)のホルスタイン種の牛群検定ならびに診療記録である。疾病形質は診療記録より抽出した第四胃変位(DA)、ケトーシス(KET)、低カルシウム血症(HC)、難産(DYS)および乳房炎(MAS)であり、分娩後30日(MASのみ150日)以内の発症有無を1と0で示した。指標形質は分娩後初回検定時のBHB (対数変換済)、PF比および分娩後150日以内の最大体細胞スコア(MSCS)である。これら8形質について産次ごとに多形質線形アニマルモデルを適用し、遺伝的パラメーターを推定した。【結果】疾病形質の遺伝率は0.1未満、指標形質の遺伝率は0.09(MSCS)から0.19(BHB)の範囲であった。疾病形質間の遺伝相関はDA、KETおよびHCの間で0.75から0.95の範囲、それ以外も正の値であった。BHBと疾病形質間の遺伝相関は0.22から0.47の範囲であった。以上の結果から、BHBに対する選抜は疾病形質への好ましい相関反応をもたらすと推察した。