日本畜産学会第128回大会

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ポスター発表

7. 畜産経営

7. 畜産経営

[P7-04] ロボット搾乳経営がもたらしたもの-北海道を事例として-

〇松本 華奈1、長田 雅宏2、小澤 壯行2 (1.日獣生科大応生院、2.日獣生科大応生)

搾乳ロボットは全国で700台以上が稼働状況にあり脚光を浴びている。本研究では北海道の搾乳ロボット導入農家の導入効果を調査することにより、ロボット搾乳システムの現段階的到達点と諸課題を明らかにする。

 調査方法はJA釧路丹頂、JA浜中町管内の搾乳ロボット導入農家5戸とJA東宗谷管内の農家3戸の計8戸を対象とし、ロボット導入の背景と導入後の経営状況等に関するヒアリングを行った。またロボット導入前の経営状態に関するアンケートを実施するとともに、経営において留意すべき項目の抽出を目的としたヒアリングを行った。

 ロボット導入時に牛舎形態を変更した5事例において、導入前と比較して蹄病発症頭数が増加していた。これは牛舎形態変更による弊害であると示唆される。蹄底潰瘍を生じた事例では給与飼料の変更で改善がみられた。総労働時間については、7戸のうち1戸で増加、2戸で減少、4戸では変化がみられなかった。しかし搾乳労働時間に関しては概ね減少していた。搾乳労働時間が増加している事例ではロボット非適応牛群を他施設で搾乳していることに起因していた。導入後に発生したトラブルはロボットと周辺機械による要因と、環境要因の2つに大別をされた。前者はロボットハード面の故障、コンピュータの異常動作等であり、後者は地震やロボットの洗浄部位凍結、コード破損等があげられる。