日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

育種・遺伝2

2021年9月15日(水) 12:40 〜 14:40 育種・遺伝 (オンライン)

座長:岡村 俊宏(農研機構畜産部門)、増田 豊(酪農大農食環境)、谷口 雅章(農研機構畜産研)

[II-15-28] 順序ある離散形質におけるベイズ推定法

*荒川 愛作1、西尾 元秀1 (1. 農研機構畜産部門)

【目的】家畜の表現型において、明確な順序がある数個のカテゴリーに分類され、遺伝と環境の影響を受ける形質がある。順序離散形質では、形質の背後にライアビリティと呼ばれるばらつきを想定し解析を行う。ライアビリティに正規分布を仮定したプロビット分析が一般的に利用されているが、ロジスティック分布を仮定した分析も可能である。そこで、本研究では、ライアビリティについて正規分布もしくはロジスティック分布とした際の推定性能について評価した。【方法】尤度をカテゴリカル分布および正規分布もしくはロジスティック分布とした混合分布とし、母数効果、育種価および育種価分散の事前分布には、通常の線形モデルと同様の分布を利用した。閾値の事前分布には、順序のある一様分布を仮定した。遺伝率を0.5とした連続形質を発生させたのち、1から3の順序カテゴリーに変換した。その際、1から3が20:60:20%のシナリオ1と80:15:5%のシナリオ2の二つを想定した。REML-EBLUP法による解析も実施した。【結果】シナリオ1の結果では、3つの方法の間に大きな差は認められなかった。一方で、シナリオ2では、ライアビリティモデルが、REML-EBLUP法より高い正確度を与えたが、閾値モデルの間に優劣は認められなかった。今回のデータでは、ライアビリティに正規分布を仮定したため、プロビット分析に有利であったことが要因として考えられる。