日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2021年9月15日(水) 09:00 〜 11:30 繁殖・生殖工学 (オンライン)

座長:松山 秀一、松本 浩道、杉村 智史(東京農工大学)、水島 秀成(北大院理学)

[III-15-03] ヒツジ栄養膜細胞が着床期特異的に発現するホスホリパーゼ阻害タンパク質の機能解析

*松野 雄太1、今川 和彦1 (1. 東海大総農研)

【目的】近年,反芻動物の胚や栄養膜細胞が分泌し,着床を誘導する未知の因子の存在が示唆されているが,その実態は不明である.当研究室は,ヒツジ栄養膜細胞が着床直前の時期特異的に分泌型のホスホリパーゼ阻害活性配列を有する機能未知遺伝子を高発現することを報告した (第128回日本畜産学会).本研究は,上記の機能未知遺伝子が子宮内膜に及ぼす影響を明らかにすることを試みた.【方法】妊娠15日目のヒツジ栄養膜細胞から作製したcDNAを用い,目的の機能未知遺伝子をクローニングした.タンパク質発現ベクターにサブクローニングし,Hisタグ融合タンパク質として組換えタンパク質を作製した.作製した組換えタンパク質をウシ子宮内膜上皮細胞(EEC)と間質細胞(STR)の初代培養系に添加し,RNAシークエンス解析に供した.【結果】作成した組換えタンパク質の添加により,EECとSTRにおいてそれぞれ35遺伝子464と遺伝子の発現量が有意に変化した.遺伝子オントロジー解析の結果,EECでは「Nicotinamide salvaging」,STRでは「ISG15 antiviral mechanism」の経路が上位に検出された.今後,ホスホリパーゼ阻害と上記経路が着床にどのような影響を及ぼすのかを明らかにしていく必要がある.本研究は「理科研研究助成」及び「旗影会研究助成」の支援を受けた.