日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2021年9月15日(水) 09:00 〜 11:30 繁殖・生殖工学 (オンライン)

座長:松山 秀一、松本 浩道、杉村 智史(東京農工大学)、水島 秀成(北大院理学)

[III-15-10] 新生仔雌マウスへのオートファジー促進による原始卵胞数の増加と維持機構の解明

*尾池 緩子1、佐々木 将、梅野 拳1、佐々木 郁奈1、木村 直子1 (1. 山形大学院農)

【目的】我々は新生仔雌マウスへのオートファジー誘導剤の投与により、原始卵胞数が有意に増加し、それらが老齢まで維持され、生涯産仔数が有意に増加することを報告している。しかし、原始卵胞数の増加と維持機構の詳細は明らかではなかった。本研究では、新生仔期の卵巣の形態学的解析と体外受精卵の発生能の評価をした。【方法】C57BL/6J新生仔雌マウスに、Tat-beclin1 D11(D11)の連続投与を行い、卵巣回収後、MVH、Lamininの蛍光免疫染色により、単一卵母細胞数と卵母細胞サイズを評価した。また、これらの卵巣について顆粒膜細胞マーカーFoxoL2と原始卵胞特異的マーカーp-Stat3の発現量を調査した。さらに過排卵処理した2ヶ月齢D11マウス卵を体外受精し、発生能を評価した。【結果】卵巣体積は、区間で差はなかった。D11区では、皮質側及び髄質側で単一卵母細胞数は高い傾向、卵巣全体で顕著に高かった。単一卵母細胞のサイズは皮質側で小さい傾向、髄質側及び卵巣全体では顕著に小さかった。p-Stat3の発現量は、D11区で高い傾向の一方、FoxoL2の発現量は区間で差はなかった。排卵数、卵割率及び胚盤胞への発生率は、有意ではないもののD11区で高い傾向にあった。【考察】以上から、D11区では、原始卵胞形成が促進される過程で、小サイズの単一卵母細胞が増え、卵胞発育が抑制 されると考えられた。