第94回日本細菌学会総会

講演情報

[学会企画]中・高校生研究発表セッション

[JRS] [学会企画]中・高校生研究発表セッション

2021年3月23日(火) 16:00 〜 18:00 チャンネル3

コンビーナー:河村 好章(愛知学院大学),寺尾 豊(新潟大学)

[JRS-8] ユーグレナの金属イオンによる運動抑制

○柿田 虎ノ介,髙橋 幹太,中島 渉,中橋 新 (石川県立小松高等学校)

ユーグレナはべん毛運動を行う単細胞の原生生物である。ユーグレナが有する多糖類パラミロンは,ヒトの健康促進などに効果がある。ユーグレナがどのような条件でパラミロンを多く蓄積するかについては様々な研究がなされているが,その中で,メチルセルロースで培養液の粘性を高めることでユーグレナの運動を抑制したところ,パラミロン含有量が増加したという報告に注目した。その研究の「ユーグレナの運動を抑制することでパラミロン含有量が増える」という主張を裏付けるため,メチルセルロース以外の手段で運動抑制をし,パラミロンの定量をしたいと考えた。そこで,複数の金属イオンがべん毛の動きに影響を与えることが知られているので,ユーグレナでも金属イオンで運動抑制が可能ではないかと考え,運動抑制に適切な金属イオンの種類・濃度を調べることとした。
まず,ユーグレナの培養液をスライドガラスに取り,同量の金属イオン水溶液を加えた。5分後に顕微鏡で観察し,視界の中のユーグレナのうち動いていないものの割合を求めた。その結果,塩化カルシウムや塩化マグネシウムを加えたときには運動に変化が見られなかった。一方,塩化ニッケルを添加すると,濃度の増加とともにユーグレナの停止した割合も増加し,0.5 mmol/Lではほぼ全てのユーグレナが動かなくなった。先行研究では25~50 mmol/Lの塩化ニッケル水溶液が運動抑制に適するとされていたが,0.5 mmol/Lという比較的低い濃度で運動抑制できることが分かった。メチルセルロース以外での運動抑制を,塩化ニッケル水溶液によって行うことができることが確認された。