[ODP-003] ヒトのFilobacterium属菌は独立した菌種である
CARバチルス'(通称)は様々な動物で報告され,16S rRNA遺伝子(rDNA)配列からそれぞれ近縁であるとされる。我々は慢性呼吸器疾患のラットから分離した'CARバチルス'をFilobacterium rodentium(基準株はSMR-CT)と命名した(2016)。2019年,HolmanらによりFilobacterium属菌がウシの鼻咽頭部菌叢に含まれることがわかった。'CARバチルス'が菌叢を構成する報告は初めてだった。我々はHolmanらのメタゲノムデータを再解析し,Filobacterium属菌のrDNA配列が確かに複数のウシから検出されることを確認し,さらにその配列はヒトを含めた動物や,様々な土壌環境に認められることが分かった。
【方法】SRP128145(ペアエンド,250 bp)から,SMR-CT rDNA配列(LC055729)との相同性が高く,さらにウシ'CARバチルス'rDNA配列(AF316115)と94%以上一致する配列を選び,ウシの共通配列(BoC)とした。BoCをクエリとして相同性解析を進めた。
【結果および考察】調べた鼻咽頭部菌叢データすべてにBoCと99%以上一致する配列が含まれていた。BoCを用いてBLASTn解析を行うと,野生のビッグホーン(99%一致)や,ブタ扁桃(同96%),急性中耳炎や肺疾患のヒト(同93%),土壌(同92%)などの未培養菌がヒットした。BoCとSMR-CTの配列同一性は87%だった。系統樹を描くとヒトFilobacterium属菌は独立した菌群を形成した。これらは,ウシ'CARバチルス'がF. rodentiumと科レベルで近縁であり(Filobacterium科は1科1属),ヒトFilobacterium属菌が独立した菌種で,そしてFilobacterium属菌が広く環境に常在することを示唆する。ヒトFilobacterium属菌の病原性解明は今後の課題である。
【方法】SRP128145(ペアエンド,250 bp)から,SMR-CT rDNA配列(LC055729)との相同性が高く,さらにウシ'CARバチルス'rDNA配列(AF316115)と94%以上一致する配列を選び,ウシの共通配列(BoC)とした。BoCをクエリとして相同性解析を進めた。
【結果および考察】調べた鼻咽頭部菌叢データすべてにBoCと99%以上一致する配列が含まれていた。BoCを用いてBLASTn解析を行うと,野生のビッグホーン(99%一致)や,ブタ扁桃(同96%),急性中耳炎や肺疾患のヒト(同93%),土壌(同92%)などの未培養菌がヒットした。BoCとSMR-CTの配列同一性は87%だった。系統樹を描くとヒトFilobacterium属菌は独立した菌群を形成した。これらは,ウシ'CARバチルス'がF. rodentiumと科レベルで近縁であり(Filobacterium科は1科1属),ヒトFilobacterium属菌が独立した菌種で,そしてFilobacterium属菌が広く環境に常在することを示唆する。ヒトFilobacterium属菌の病原性解明は今後の課題である。