第95回日本細菌学会総会

講演情報

学会企画 中・高校生研究発表セッション

[JRS] 中・高校生研究発表セッション

2022年3月29日(火) 14:30 〜 19:25 チャンネル3

コンビーナー:河村 好章(愛知学院大学),寺尾 豊(新潟大学),垣内 力(岡山大学)

[JRS-11] 温度変化による細菌の増殖と減衰

中谷 紗羽,佃 美咲,平﨑 真由,寺屋 冬愛,西山 紗椰,磯田 渚沙,大塚 愛理,本田 果穂 (熊本県立熊本北高等学校)

新型コロナウイルス感染症の流行により,消毒液の需要が高まり,アルコール消毒液の入手が困難な状況が生まれた.昨年度の研究では,市販のアルコール消毒液は,商品によって濃度が異なっているため,非常時にアルコール濃度を減らしつつ抗菌効果が維持できる濃度の検討と,添加物を加えることで,低濃度でも抗菌効果を高めることができないかを調査し,エタノール濃度50%と70%では,抗菌効果に大きな差が見られたため,希釈する際にも,70%以上の濃度を維持する必要があることが示唆された.また,伝承薬として抗菌作用が期待できる植物抽出液を添加して,抗菌効果を比較した結果,ヨモギとカイワレの葉の30%エタノール植物液で高い抗菌性が見られた.
本研究では,身近な細菌であり,食品にも利用されている「乳酸菌」に着目することにした.乳酸菌の培養条件として温度を調節することで,菌の増殖や減衰が見られるのかを確かめることを目的とした.この結果と,世界の熱帯,温帯,乾燥帯,冷帯,寒帯の世界5地点の代表的な温度・湿度に注目したときに,伝統的に作られている発酵食品との間に関係性があるのかを考察することにする.さらに地域ごとで温度,湿度も異なるので食料の保存方法も全く異なることが予想される.また,発酵食品においても高温,低温,多湿,乾燥に適しているものなど様々であると予想する.次のように仮説を立てて,実験を進める.①温度,湿度を上昇させると乳酸菌は増殖する.②温度,湿度を低下させると菌は減衰しないが繁殖が止まる.③急激な温度変化をさせると乳酸菌の増速速度も大きくなる.