第95回日本細菌学会総会

講演情報

学会企画 中・高校生研究発表セッション

[JRS] 中・高校生研究発表セッション

2022年3月29日(火) 14:30 〜 19:25 チャンネル3

コンビーナー:河村 好章(愛知学院大学),寺尾 豊(新潟大学),垣内 力(岡山大学)

[JRS-13] フラクトオリゴ糖(FOS)は腸内細菌のバランスを調節する

金子 菜名子 (山村国際高等学校)

フラクトオリゴ糖はエリュシペロトリクス科細菌の増加を抑制し,ラクノスピラ科細菌を増加させることを明らかにした.フラクトオリゴ糖(fructooligosaccharides;FOS)は,ショ糖(グルコースとフラクトース)のフラクトース残基に1~3分子のフラクトースが結合した構造を持つ糖質の混合物の総称で短いものから,1-ケストース(GF2),ニストース(GF3),1F‐フラクトフラノシルニストース(GF4)を含む難消化性糖質の混合物である.FOSは,難消化性でありプレバイオティクスの一つである.プレバイオティクスは,難消化性であるため,大腸まで消化されずに到達し,腸内細菌にFOSなどのプレバイオティクスが利用されることで,腸内の菌叢のバランスが保たれると考えられている.FOSはプレバイオティクスであり,腸内細菌の餌となる.プレバイオティクスとしての働きが調べられているが,体重増加を引き起こす場合もあることが分かっている.我々は,このFOSにダイエット効果があるかどうかを調べ,太った後にダイエットできたマウスの腸内細菌を調べた.次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer; NGS)を用いた網羅的な16S rRNA解析による菌叢解析により,同定された菌叢を比較したところ,ダイエットに成功したマウスでは,エリュシペロトリクス科細菌とラクノスピラ科細菌についての変化が観察された.エリュシペロトリクス科細菌は脂肪飼料で増加するが,FOSにより,その増加が有意に抑制されていた.一方で,酪酸生産菌であるラクノスピラ科細菌は,FOSにより,有意に増加していた.