第95回日本細菌学会総会

講演情報

学会企画 中・高校生研究発表セッション

[JRS] 中・高校生研究発表セッション

2022年3月29日(火) 14:30 〜 19:25 チャンネル3

コンビーナー:河村 好章(愛知学院大学),寺尾 豊(新潟大学),垣内 力(岡山大学)

[JRS-14] 納豆菌の粘質物とタンパク質分解酵素の関係

前田 茉桜 (名城大学附属高等学校)

納豆菌は,枯草菌の一種で,内生胞子を持つ自然界で最も安定した菌種である.胞子を殺すためには121℃で20分以上加熱しなければならない.また,乳酸菌などの菌種や多くのウイルスは,食品とともに酸性の強い胃液の中で殺菌される.しかし,納豆菌はpH2.2という強い酸性である胃液にも負けることなく,健康効果を与えるという報告もある.納豆の粘質物は,タンパク質を分解してできたグルタミン酸と,糖の一種であるフラクタンという物質からできている.フラクタンも弱い粘性を示すが,糸引きの主体はグルタミン酸ポリペプチドと言われている.
普段,食器を洗っているときに,納豆を食べ終わった後の容器に付着している納豆の粘質物がとりにくいことを不便に思った.納豆の粘質物を素早くとるためには,水や洗剤をいつもより多く使うことになってしまう.
そこで,納豆菌の性質の理解と環境問題への課題を解決するために,納豆の粘質物に,より強い影響を与えるタンパク質分解酵素を見つけたいと考えた.
納豆の粘質物はタンパク質分解酵素により粘性度が低くなると仮説を立てた.
タンパク質分解酵素が含まれる試料のうち,身近にあり,環境に悪影響を与えないと考えられるものを使って,タンパク質を分解することができるかどうかを調べることを目的とし,タンパク質分解酵素による粘質物の粘性度の変化について確認する実験を行った.