第95回日本細菌学会総会

講演情報

学会企画 中・高校生研究発表セッション

[JRS] 中・高校生研究発表セッション

2022年3月29日(火) 14:30 〜 19:25 チャンネル3

コンビーナー:河村 好章(愛知学院大学),寺尾 豊(新潟大学),垣内 力(岡山大学)

[JRS-4] 植物が持つ抗菌活性~カイヅカイブキの可能性を探る~

大内 莉緒 (福岡県立城南高等学校)

本校ではコロナ対策として,消毒作業が行われている.そこで,身近な植物で代用できないかと疑問を持ち,校内のカイズカイブキ等の抗菌活性について調べた.まず,カイヅカイブキ,ローズマリー,ハナミズキを5種の有機溶剤で抽出したときの抗菌作用を納豆菌に対して検証したところ,カイヅカイブキはキシレン,ローズマリーはエーテルが阻止円を形成し,水での抽出は阻止円を形成しなかった.よって,カイヅカイブキとローズマリーのもつ抗菌物質は水溶性ではなく,かつ,異なる可能性がある.
次にカイヅカイブキ,ローズマリー,その他植物の納豆菌と黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用を検証したところ,納豆菌はローズマリー,黄色ブドウ球菌はカイヅカイブキが大きく阻止円を形成した.また,カイヅカイブキの抽出液をクロマトグラフィで分離させ,TLCシートを納豆菌を塗り広げた培地に置き,阻止円のRF値を調べたところ,エタノール抽出ではフェオフィチンがあるものだけ阻止円を形成し,アセトンではすべて阻止円を形成した.フェオフィチン付近に阻止円が形したことから,エタノール抽出のカイヅカイブキの抗菌成分は葉緑体が関係している可能性がある.
最後に,掌の常在菌に対するカイヅカイブキとローズマリーの抗菌作用を検証したところ,カイヅカイブキはすべての菌に対して効果があったが,ローズマリーは一部のグラム陰性菌に対して効果が見られなかった.